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2017/02/11

「この世界の片隅に」を観る

今日は今年劇場鑑賞4本目、「この世界の片隅に」を観てきた。2016年キネマ旬報日本映画ベスト・テン、読者ベスト・テン(日本映画)をダブル受賞。また先日、盟友N氏に人生ベストワンと言わしめた作品でもある。第二次大戦中の昭和、広島・呉を舞台にヒロインすずと家族、周囲の人々の姿を描いていく。

色薄みでパステルタッチ、優しさ溢れる画に住む生活、文化のリアリズムがこの作品の持ち味。徹底して画のリアリズムを追求した「君の名は。」とは対局的であるが、その先に人を描く事は変わらない。ただファンタジーだった「君の名は。」、創作ながら史実に沿った本作のスタンスは大きく、両者の描く”救い"も大きく違う。

本作を左翼的だと、単に反戦映画と考えるのは早計だと思う。ヒロインの住む時代が戦中であって、大半は彼女の生活感が描かれていく。相手を知らずに嫁に行ったり、嫁小姑の関係があったりと彼女の日常は時代性以外は何も変わらない。あくまでこの作品で描かれる戦争は北野作品で描かれる、日常に潜む狂気と同義だ。

そして我々の知る史実が彼らに迫る。そこで描かれる作品のテーマこそ「人間の当たり前」。そしてささやかな希望が、タイトル「この世界の片隅に」に込められている。

劇中、すずを演じるのんこと能年玲奈のハマりぶりを感じる事しきり。芸能界で本名ながら芸名を奪われたが、さぞ本作に救われただろう。クラウドファンディングで製作された通り、エンドロールに流れる沢山の方々の後押しも感慨深い。

何度も観るようなエンターテイメント性は無いが、人を描いている点はかつての日本映画のように日本映画らしい。そして日本人だからこその感慨がある。是非劇場でこの作品に触れて欲しい。

170211

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