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2017/02/26

「ラ・ラ・ランド」を観る

今日は一人でデイミアン・チャゼル監督作品「ラ・ラ・ランド」を観てきた。前作「セッション」を大絶賛した身として本作の鑑賞は欠かせない。そして中身はハリウッドの王道を行くミュージカル映画であり音楽映画であった。

ニアは女優の卵、バイトの傍でオーディション突破に励む。そんな彼女が店の前でセバスチャンの弾くピアノ演奏に心を掴まれる。二人の距離が近づくのは時間の問題だった。ニアは女優を、セバスチャンはジャズの道を目指しつつ関係を深めていく。

長回しによる冒頭のハイウェイ、高架のシーンから圧巻。出演者の衣服、車に至るまで色彩設計も含めて緻密に計算されている。ジャズバーのシーンでは「セッション」と同じ茶系を踏襲も、それ以外では色彩豊かで観ているだけで楽しい。これ程に色が溢れている映画は「ディック・トレイシー」以来でないか。これを100%以上で上映できる映画館は国内でも数少ないだろう。加えてシネマスコープ、テクニカラーとかつてのハリウッド大作を思わせる演出である。

音楽再生においてもそれを強く感じる。「セッション」同様、ジャズクラブのシーンが心地いい。それだけでなくミュージカルシークエンスでもメリハリがあり、なかなかの包囲感。そういえば劇中、「サラウンド」のウンチクがあったが、監督もそういった点でオタクなのかもしれない。

物語は王道の上を行く王道であり、監督なりの映画へのオマージュに溢れている。アメリカン・ドリームに恋愛、そして音楽。ハリウッドでもここまで音楽を撮れる映画監督はいない。また緊迫感溢れた「セッション」と異なるベクトルながら、音楽映画という軸はブレていない。映画としての好みなら明らかに前作だが、エンドロールではこの映画の音楽に聴き惚れてしまった。同様に計算されたダンスシーンも素晴らしい。

問題を強いて挙げれば、日本人にとってミュージカル映画は大きな壁であるが、加えて字幕(を読む事)がその楽しさをスポイルする。やはり本作は「ラ・ラ・ランド」でなく、「LA LA LAND」なんだね。慣れた映画ファンなら一瞬読みつつ画面に没入できるが、普通の人ならそうはいかない。本作での楽曲、歌詞の意味は物語に沿っているため、画面から楽しんだ方がいいだろう。語学の壁のない人なら本作をより楽しめる。

映画としてはライアン・ゴスリングとエマ・ストーンによる映画。オスカー候補も納得できる。ちなみにあのJ.K.シモンズでさえ添え物扱いとなった。歌とダンスに演奏と二人への感情移入がカギであり、ラストシーンで見つめ合う表情が堪らない。「セッション」同様、今回の作品でもラストシーンにしてやられた。

若き才能デイミアン・チャゼル監督はやっぱり天才だった。近々サントラもスコア集、歌曲集共に買ってしまうだろう。明日のアカデミー賞授賞式が楽しみだ。

170226

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