「サバイバルファミリー」を観る
今日は一人で矢口史靖監督最新作「サバイバルファミリー」を観てきた。矢口監督といえば劇場で観た「ウォーターボーイズ」に感動、佳作も多くハマる作品が多い。これまでも着眼点、プロットの面白さが光る。そして本作では未曾有の状況下で助け合い生きていく家族の姿を描く。
現代の東京。ある朝、起こった停電に戸惑う鈴木家。車も動かず、交通機関は麻痺。会社、学校に向かうも社会は機能していなかった。数日後、衣食住に限界を感じた彼らは父義之の得た情報から家族4人、自転車で大阪へ向かうのだった。
3.11から6年。あの時の教訓を忘れ、あの時以上に様々な物、情報への依存が進んだ気がする。まさに冒頭の鈴木家の描写がそれを物語る。一見満たされた生活だが、会社や学校、社会に忙殺され、家族は繋がりを失いつつある。「サバイバルファミリー」というタイトル、矢口監督作らしいコメディながら、生きていくための力強さ、家族の再生がテーマである。
そんな鈴木家の人々に感情移入しつつ、今我が身に起きたらと鑑賞前後に色々と考えさせられる。それも観る人の立場、環境によって異なるだろう。またこのプロットでハリウッド映画ならすぐに暴動となるが、本作ではそうならない。
単にパニックへ陥らず、日本人同士ならでは様々な助け合いもある。3.11を受けた日本映画の回答だ。矢口監督らしい鈴木家やその他の人々の描き方。大地康雄演じる田中さんとの出会いもいい。本作は同時に3.11以降の問題提起でもある。
なおこの作品を観る際は飲食はしない方がいい。BGMはここぞというところまで皆無。音響的には停電前後の環境音の違いも聴きどころ。鑑賞前に必ずケータイ、スマホの電源は切りましょう、我が経験を踏まえて。また停電下の描写なのに、テレビで観るとこの作品のありがたみは半減するだろう。是非本作は劇場で観られたし。
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