「マン・オン・ワイヤー」を観る
皆さん、あけましておめでとうございます。
正月、今年初映画という事でWOWOWで録ってあった「マン・オン・ワイヤー」を観た。昨年観た映画「ザ・ウォーク」の原型であり、綱渡り師フィリップ・プティの著書を原作、2008年度アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した作品だ。
大道芸人であり綱渡り師のフィリップ・プティは歯科医院である新聞記事を目にし、ある構想を得る。それこそワールド・トレード・センター屋上の間を綱渡りする事だった。フィリップは渡米、共犯者ならぬ仲間を集め、準備を進めた。そして1974年8月7日を迎える。本作は関係者たちがその出来事を回顧したドキュメンタリー。
「ザ・ウォーク」と「マン・オン・ワイヤー」は相互補間関係にある。前者はフィリップの人となり、師匠との出会いと存在、仲間作りが克明に描かれている。その点、後者で秀でているのは当時の映像、写真の持つ迫力だ。さすがはドキュメント、関係者各人の掘り下げが深い。自らの言葉で振り返る姿は説得力がある。そしてチーム目的の実現とその終わりに青春ドラマのようなものを感じる。
またもう一つの主役がツインタワーこと、ワールド・トレード・センターの存在。建設当時の映像がその凄みを増させる。だが相反し、のどかに建設を進める作業員たちの笑顔が印象的だった。本編中の人々の関わりも含め、その時代を感じさせる。
「ザ・ウォーク」を観た後であれば45分間に8往復した事に驚きはない。ただ当時の空撮を見ると、3Dで無くとも足がすくむ怖さを伴う。これぞ本物の迫力だ。本作中、当時関わった警察官の会見に全てが凝集されている。
「個人的にはすごいものを見た。二度と見られないだろう。一生に一度だ」
事実は小説よりも奇なり。「ザ・ウォーク」とセットで観たい作品だ。
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