「X-MEN:アポカリプス」を観る
今夜は仕事帰りに「X-MEN:アポカリプス」を観てきた。「X-MEN」シリーズ最新作。前作「フューチャー&パスト」で三作目「X-MEN: ファイナル ディシジョン」で失った物語を回収したブライアン・シンガー監督が、今回こそ自らの手で新三部作を完結に導く、そんな意気込みを感じるSF大作。
紀元前3600年エジプト。神と崇められた男はある儀式を前にしていた。だが儀式は反対派の抵抗でピラミッドが崩壊、事なきを得る。そして1983年、封印されていた男の力が甦った。男の名はエン・サバー・ヌール。人類初のミュータントであり、ミュータントの体を乗り移って生き長らえてきたのだ。黙示録の如く4人のミュータントを従えた男は、世界再構築に乗り出す。
本作は時系列的に第一作「X-MEN」の前に位置。そしてキャストは第一作の中核であるセカンド・ジェネレーションに繋がる。ストーム、ジーン、そしてグラサン野郎ことスコットとキャストはリバイブ。一旦、本作で幕切れとなるようだが、今後彼らリバイブキャストによる新シリーズもあり得る。
「ファースト・ジェネレーション」からの新三部作での面白さはキャストとストーリーテリングに尽きる。ただ本作ではストーリーテリングの大胆さが後退。X-MENと最強ミュータントとの対峙が物語の主軸であり、大きな流れもなくオーソドックスに進んでいく。最強ミュータントも欲望に任せ、あまり魅力的で無い。それにいまいち物語にひねりを感じないのは、新シリーズの功労者マシュー・ヴォーンの名がスタッフに無いためだろう。
反面、そんなヴォーンが見出した「ファースト・ジェネレーション」のキャストによる葛藤がもう一つの主軸。やはり新三部作はチャールズ、エリック、レイヴンの物語なのだ。特にエリックの苦悩は本作以降の晩年に繋がるもの。今回、ミスティークことジェニファー・ローレンスは素顔が多く、メインキャストとして物語を引っ張っていた。チャールズは第一作に繋がるべくクライマックス、いよいよあの風貌になっていく。
シリーズとしての最低限の整合性は確保しつつ、散りばめられた伏線は全六作に相通じるもの。しかし本作では「フューチャー&パスト」によるちゃぶ台返しの後、すなわち現在の「X-MEN」に触れられていない。本作はあくまで新三部作のケジメのため。とにかく前三部作を締められなかったブライアン・シンガーなりの区切りはできたのでは無いかと思う。なおエンドロールの最後まで席を立たないように。
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