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2016/07/16

「さざなみ」を観る

 今夜は一人でシャーロット・ランプリング主演「さざなみ」を観てきた。ベルリン他、数々の映画祭で評価されている本作。首都圏のミニシアターでロングランを続ける作品が我が田舎のシネコンにもやって来た。ちなみに原題は「45Years」。作品を観終わると言い得て妙な邦題だと気づく。

 ケイトとジェフは週末に45周年の結婚記念日を迎える。そんな中、ジェフの元に届いた手紙には、かつて山で事故死した恋人が見つかった事を知らせるものであった。結婚前の出来事、ケイトは知らぬ名でない恋人だったが、ジェフの抑えられない感情に気づく。手紙の後、妻に隠れたジェフの行動、ケイトに知らされる真実。そして二人は結婚記念パーティーを迎えた。

 Rが何も付かない作品だが、観る者の心理的にはR-30以上が付くだろう。それ程に本作の描くものは濃く深い。ただ独り身の方や若者にはなかなか伝わらない。夫婦間の会話、表情、心理を追いつつ、展開は淡々と心情的にえぐっていく。演じるシャーロット・ランプリングの表情を追うだけでも、ケイトの心中たるや推して知るべし。ただ物語として明確なオチは設けず、観客に投げ掛ける作りだ。全体として、夫婦とは最も身近な他人である事を思い知らさせる。

 私は幸い本作のような心配は無いが、それでも少なからず相容れない部分があるのが夫婦であると思う。そこに着眼した本作は面白く映る。繕う夫のたどたどしさに冷静な妻の目。同じ夫婦間を描いた「ゴーン・ガール」のような血生臭さは無いが、それを超える心理劇。ご夫婦で観る際は注意されたし。鑑賞後のお二人の間がただの「さざなみ」でありますように。

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