「キングコング対ゴジラ<完全版>4Kデジタルリマスター」を観る
日本映画専門チャンネルで放送された「キングコング対ゴジラ<完全版>」を観た。前回の集中放送と異なり、今回の「キンゴジ」は4Kデジタルリマスター版だ。通常のBSデジタル放送のために2Kダウンコンバートとなるが、それでも質の向上が伺える出来。ゴジラシリーズは何度も観ているが、意外に本作を通して観るのは初めてな気がする(昨日同じようなことを書いたけど)。
自社提供番組の視聴率獲得に乗り出すパシフィック製薬は、南海のファロ島に居る魔神探しに乗り出す。一方、北極海調査のため派遣された原潜シーホーク号が氷山に座礁、その影響で眠っていたゴジラが蘇った。時同じく巨大タコに襲われるファロ島。彼らを救った魔神こそキングコング。だがコングは木の実の薬効で眠ってしまう。テレビ局はこれを機にコングを日本へ連れ出した。やがてゴジラは日本に上陸。ゴジラとキングコングの雌雄を決する戦いが始まった。
「ゴジラの逆襲」から7年後、1962年公開のシリーズ第3弾。以降のゴジラシリーズのフォーマットはこの作品で確立されたものと言っていい。ゴジラと対抗怪獣、街、ランドマークの破壊等などお決まりの連続。特にコングを探しに行く過程はそのまま「モスラ」に当てはまる。原住民が茶塗りの日本人というのは何とも滑稽だが、初期のゴジラシリーズはそれが許される時代性で成り立っている。
キャストは当時の東宝らしいオールスター。若き高島忠夫に有島一郎、浜美枝と若林映子の007コンビ(「007は二度死ぬ」)に平田昭彦と田崎潤とそうそうたる面々。特に有島パパのノリは、まるで若大将シリーズから乗り込んだようで可笑しい。
シリーズの中でゴジラの造形が最も好きなのはやはり「キンゴジ」。巨大感を表す尻尾とのバランス、まぶたの処理が好き。凶暴な顔でゴジラが人類の敵である事も大きい。
肝心のキングコングとゴジラの決着は何とも言いようがない終わり方だが、正直大人の事情なのだろう。そんな決戦の地、地元に近いのに熱海城の存在を知らなかった。熱海城を挟んで相見える二大怪獣に興奮。反面、彼らが上陸するまでの前半はなかなかタルい。でもそれで物語を引っ張れるのは、それが許される当時の時代性なのだと思う。
ちなみにハリウッド版ゴジラがキングコングと対決するという噂もあるが、リアリズムばかりに気を取られ、本作に勝る興奮は得られないだろう。とにかく先に夢の対決を実現した当時の製作陣に感謝である。
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