「レヴェナント:蘇えりし者」を観る
今夜は久々に盟友N氏と「レヴェナント:蘇えりし者」を観てきた。レオナルド・ディカプリオ念願のオスカーに、アレハンドロ・G・イニャリトゥが2年連続監督賞を受賞のオマケ付き。地味で156分の長尺ながら、凄みを感じる作品だった。
西部開拓時代。原住民との対立の中で狩猟を続ける人々。彼らを導くグラスは土地を知り、原住民との間に息子を持つ男だった。だがある出来事で重傷を負ったグラスは息子ホーク、高給と引き換えに仲間のフィッツジェラルドらと残る事に。身動きの取れないグラスにフィッツジェラルドは言葉を掛け、口元に手を伸ばすのだった...
主役はアカデミー賞主演男優賞のディカプリオ。アップになった時、額のシワに渾身の演技がもたらす凄み。今こそ受賞時と感じると同時に脂の乗ったディカプリオがみられる。ただキャスト上の主役がディカプリオであって、本当の主役は背景にある大自然。印象的なのは画的に似た構図を用意しつつ、吹雪や夜景等の緩急を交える。サバイバーたるグラスの視点を追ったものだ。
そして圧巻の映像と共に音響、サラウンドが素晴らしい(劇場鑑賞でこんな表現をするのは久しぶり)。エンタメと違い、派手さは無いがまさに自然。その中に観客は解き放たれる。コケオドシの4DXなんか目じゃ無い。グラス=ディカプリオに感情移入し、ひたすら復讐心の顛末を見守る事になる。劇中で心理描写を抑えた坂本龍一のスコアも良かった。
惜しむらくは映画マニア向きの作品であって、エンタメ好きな映画ファンにはキツい作りである事。"地味で156分の長尺”はかなりのボディブロー。体調を整えて鑑賞する事を薦める。ただ予測不能な展開、様々な伏線、ディカプリオだけでなくヒール=トム・ハーディの好演、そして迎えるエンディングまで目が離せない作品だった。
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