「クリード チャンプを継ぐ男」を観る
今夜は盟友N氏と劇場映画の年末見納めとして「クリード チャンプを継ぐ男」を観て来た。言わずと知れた「ロッキー」シリーズのスピンオフ。かつてのライバル、アポロの息子の物語である。時代は変われど戦い、愛、家族と描かれるテーマは不変。しかも熱い。
昼はロスの金融会社、夜はメキシコの賭けボクシングに出場するアドニス。だがそんな生活に限界を感じ、ボクシング一筋を志す。だが父の居たジムは彼を受け入れず。そんなアドニスが足を運んだのはフィラデルフィアだった。かつての父のライバル、ロッキーのホームタウン。そしてアドニスはロッキーに会い、自らへのトレーニングを依頼する。
本作は若いファイター、アドニスの物語ではあるが、やはりロッキーの物語でもある。セリフやシーンのインサートはオマージュに留まらず。39年掛けて紡がれた深みは一朝一夕のものではない。「ロッキー・ザ・ファイナル」から9年も経っていた事に驚かされる。後進、しかもライバルであるアポロの息子を教えるロッキーに、自分を教えたミッキーの姿が重なる。そしてロッキーは自らの戦いにも立ち向かうのだ。だからこそアドニスを鼓舞するロッキーのセリフに泣けてくる。
アドニスが自らの立場との葛藤、そこに現れたビアンカとの愛。第一作でロッキー、エイドリアン、そしてミッキーの物語だったが、本作ではアドニス、ビアンカ、そしてロッキーの物語に置き換わっている。構造はシンプル。戦いの動機、勝利への執念等、時代を超えて継承されている。日本で付けたサブタイトル「チャンプを継ぐ男」は劇中のロッキーの言葉の通り、ラストシーンに結実する。
とにかくボクシング映画の良さ、ミット打ちやパンチングボールの生み出すリズムが心地いい。現代を生きるアドニスに即した音楽使いに、ここぞとばかりにビル・コンティの「Going the Distance」が流れると血はたぎる。ボクシングシーンは本家とは違う画作りだが、より近づき迫力を伝える。得られた感動は不変。これまでのファンならきっと満足するだろう。またこの作品で初めて「ロッキー」に触れたのなら、是非旧作も観てもらいたい。
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