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2015/08/09

「男たちの旅路 第1部」を観て、今を考える

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 「男たちの旅路 第1部 」を観た。放送は1975年で全3話、その後続くシリーズ第1部。山田太一脚本、鶴田浩二主演のNHK「土曜ドラマ」。幼少の頃、両親がよく観ていた老舗ドラマ枠だ。今回、日本映画専門チャンネルで同じ曜日、時間帯で再放送されることになった。「土曜ドラマ」といえば、開始時刻を示すベルと電光掲示板のオープニングタイトルが懐かしい。

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 物語は警備会社を舞台にベテラン上司と二人の新人との交流を中心に、世代間の対立、価値観の違いに戸惑う中、やがて互いに認め合い仕事に臨む姿が描かれる。新人を演じるのは若き水谷豊と森田健作。といっても当時の彼らとしては十分に名の売れた時期。ただ彼らよりも鶴田浩二の存在感が際立つ。軽さ(若さ)に緩急を織り交ぜた水谷豊の演技に鶴田の重みある表情、セリフがこれを受け止めていく。

 物語の背景にあるのは戦中派と戦後世代の違い。特に鶴田演じる吉岡は特攻隊の生き残り。戦中、戦後の混乱の中、今の場所を見つけ、仕事に身を捧げる。鶴田自身も特攻隊の整備士だった経験があり、まさに吉岡は彼そのものである。空に散った親友への想いは山田太一の生むセリフと同化し、我々に何かを伝える。それこそが何物にも代えがたい説得力となる。時代が変わっても変わってはいけないものを教える。

 今渦中の安保法案に関し、まさに世代間、価値観の対立が起きている。「男たちの旅路 」放送から40年経っているが、その当時でさえかなりのギャップを感じつつ、今はさらに大きな変化の中にある。ただこのドラマの描く大義は時代が流れても不変のものだと思う。この国の宰相は背景に時代の変化を唱える。だがそこに鶴田のような重さはない。米国国会での浮き足立った演説に違和感を覚え、今も総理にそれを感じる。自分は反対、賛成以前にそんなインプレッションを大事にしたい。鶴田=吉岡だったらどんな言葉を総理に投げ掛けるのだろう。

 別に「男たちの旅路」は重いだけのドラマではない。水谷豊だけでなく、若き桃井かおりが華を添える。アパートを訪れる桃井=悦子に戸惑う鶴田=吉岡。そのやりとりが可笑しい。鶴田晩年のライフワークといっていい「男たちの旅路」は第4部まで続く。良いドラマは今観ても色褪せないと感じた。


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