「タワーリング・インフェルノ」を観る
昨日NHK-BSプレミアムで放送された「タワーリング・インフェルノ」を観た。この作品、これまで何度観たか覚えていない。日本公開は1975年だが、どちらかというとテレビ放映で馴染み深い。初回はフジテレビで二夜、前後編で放送されたと記憶している。名優の共演に加え、吹き替え版が堪らなかった。城達也の声で「僕は昔、陸上の選手だったんだ」と火の中を駆け抜けようと試みるロバート・ワグナー、矢島正明のロバート・ヴォーン、中村正のフレッド・アステア、そして宮部昭夫のスティーブ・マックィーンに卒倒する。みんないい声、いい演技だった。
閑話休題、今回は字幕版。配給はワーナーと20世紀フォックス。制作はアーウィン・アレンとジョン・ギラーミンという往年のパニック大作の二大巨頭。世界一の高層ビルの完成式典の出来事を追う。一事が万事、コストカットのために部品の格を下げた事を発端に、ビルは小火から大火に包まれる大惨事に進んでいく。消防チームのオハラハン隊長、建築家のダグがこれに立ち向かう。
オハラハンをマックィーン、ダグをポール・ニューマンという二大スーパースターの共演。それだけでなく他の共演者も名優揃い。ただそんな中でもマックィーンの存在感は出色だ。抜群のリーダーシップによって一人、また一人と救出されていく。最終的にはビルの構造を活かした奇策を繰り出すのだが、そこが最大の見せ場。ただ救出の反面、多くの犠牲者が。その両面を描く事もこの作品の良心。フレッド・アステアが路頭に迷うラストシーンが虚しい。
そして沢山の部下を失ったオハラハンがダグにこう伝える。「こういうビル火災でいつか一万人が死ぬだろう。(中略) 私は遺体を運び続けるさ。誰かがビルの建て方を聞きに来るまで」。これは40年前の作品だ。建築偽造は未だ収まらず、中には大事故に至るケースも絶たない。この作品はエンターテイメントである一方、挙げられたテーマも褪せていない。この作品に集った名優たちが残した演技と共に忘れてはならない気がする。
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