「トラック野郎・御意見無用」を観る
昨年亡くなった菅原文太さんの追悼企画が東映チャンネルで続く中、今月から2ヶ月連続、トラック野郎シリーズもスタート、「トラック野郎・御意見無用」から始まった。これに合わせスカパーも追加チャンネル契約し、保存用に録画をしている。まずは第一作「御意見無用」を観始めた。
なお文太さんが亡くなった直後、WOWOWでも放送されており、その再見である。というか、先週の「タワーリング・インフェルノ」同様、我が血肉になった映画の一つといっていい作品で、通算何度観たか判らない。ただトラック野郎シリーズ初期は特殊浴場のシーンもあり、子供の頃観ていたテレビ放送(地上波)の際は何となくカットされていた気がする。
物語はシリーズを通してオーソドックス。全国を巡るトラック運転手の星桃次郎(菅原文太)が、仕事先で美女に出会い一目惚れ。そんな恋の奮闘と相棒ヤモメのジョナサン(愛川欽也)との珍道中を繰り広げるロードムービー。劇場予告編をみると早くも「シリーズ第一弾」と謳われていたが、プログラムピクチャー時代の東映が番組の穴埋めに急遽企画を立ち上げた作品であった。予想外の反響に結果シリーズ化となったのだ。昨年亡くなった鈴木則文監督の著書「トラック野郎風雲録」にもその点が触れられている。こちらは今読んでいる最中でいずれ取り上げたい。
本作ではドライブインで中島ゆたか演じるヒロインに一目惚れする桃次郎。そんなトイレでのやり取りが可笑しい。「太陽を盗んだ男」の長谷川和彦監督が「文太さんはインテリ」と称したように、晩年の文太さんの活動からその点は垣間見える。一見、桃次郎の言動にそんな点は微塵もない。しかし放つセリフにはその一端が感じられる。本作でいう絶対権力である警察との対峙、そしてトラック野郎の仁義等々。
もう一つの見どころは夏純子の存在だろう。桃次郎への片思いをその気性から正直になれない。一方の桃次郎も鈍感なので思いは届かない。その歯がゆさが堪らない魅力となっている。残念ながら平成の今、彼女のような線の太く強さを感じる女優さんは見当たらない。本シリーズは男職場のトラック野郎の中、そうした女性運転手も登場する。ただその中でも第一作の夏純子が一番だったと思う。
東映が放った最後のプログラムピクチャー「トラック野郎」。松竹のご存知「男はつらいよ」シリーズのアンチテーゼではあるが、少し偽善臭を感じる寅さんよりも人間らしい(下品でエッチな)一番星桃次郎の方が好きだ。キンキンとのデュエット曲「一番星ブルース」が心にしみるなぁ。
| 固定リンク
コメント