「6才のボクが、大人になるまで。」を観る
今夜は盟友N氏とリチャード・リンクレイター監督作品「6才のボクが、大人になるまで。」を観てきた。今年の米アカデミー賞、最優秀作品賞は逃したものの、パトリシア・アークエットが最優秀助演女優賞を受賞している。ただ撮影に費やした年月を思えば、キャストやスタッフの苦労が偲ばれ、観終わるとそんな賞等ちっぽけに感じ、むしろそれ以上の感慨を与えてくれる。
6才になるメイソンは姉のサマンサ、母のオリヴィアと共に暮らす。時に母と別れた実の父が現れ、メイソンに人生を諭す。一方自ら活路を見出すため、大学に進学したオリヴィアはその先で新たな出会いを果たす。やがてメイソンは新たな家族と過ごし、人生を重ね、幼かった少年は大人になっていく。この作品はメイソンの成長と家族の物語となっている。
とにかく見どころは少年の成長を実際に12年掛けて撮った事だ。究極の演出と言っていい。日本でいうドラマ「北の国から」と同じスタイル。そんな観る側の少年に対する思いは同じ。可愛い顔をした少年が背が伸び、変声期を経て凛々しい男になっていく。僅か3時間足らずの物語なのに時の流れを感じさせる。この作品のセリフを借りれば、人生とは瞬間の積み重ねであり、それを体現した演出である。
原題「Boyhood」という事で織り込まれるエピソードは新味は無いものの親しみ易い。強いて泣かせるような演出が無いのも好感。また子を持つ親としてはオリヴィアやイーサン・ホーク演じる実父(終盤ではニック・ノルティばりの貫禄となる)の気持ちも判る。特にオリヴィアが巣立つメイソンに放つ言葉は重い。今の我が子は出だしのメイソンと同じ年だが、やがて彼との関係でも同じような思いに接する事になるのだろう。
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