「山田孝之の東京都北区赤羽」最終話を観る(ネタバレあり)
「山田孝之の東京都北区赤羽」の最終話、「山田孝之、赤羽を出る。」を観た。第10話まで山田が赤羽に身を任せる姿が描かれていたが突然、ラストで再びジョージさんに諭される(というかまたも怒られる)。
「15から一生懸命やって答えがコレかよ!?」
(山田が赤羽メンバーを呼び出し、夜凧を揚げる中...)
自分にできる事、恩返し。作者の清野とおる氏が同じようにもがき、赤羽を投影した原作本を生んだように、山田は劇「桃太郎」を作ろうとする。それが前回までの流れ。
目的を忘れた桃太郎(山田)が再び鬼退治を志す。鬼退治のために家来を従えようと試みるが、思うようには運ばない。家来に誘うのは赤羽メンバー。自由気まま、誰一人ついて行こうとする者はいない。そんな自由な村に身を任せる桃太郎だったが、突然、犬(ジョージさん)にお前の目的は?と諭される。そして桃太郎はひとりで鬼が島を目指す。
預言者(清野氏)に鬼の姿はあなた次第と言われた瞬間、自らとの戦いに身を投じる。
刀を振りかざす桃太郎。一心不乱に刀を降り、地に倒れる。
再び立ち上がった桃太郎は「鬼は俺自身」と刀を振り下ろした。
その姿は村、赤羽に身を任せた故に為せる業だったのだ。
終幕後、通路で挨拶をする山田。軽く頭を下げた時の表情が清々しい。第一回、赤羽熱に取り憑かれた。だが最終回は何か吹っ切れた表情が印象的だった。表現者たる俳優山田孝之の真骨頂。
人気俳優が赤羽に住むという奇をてらった番組のようで、実は誰もハッとさせる瞬間を持ち合わせていた。生きている目的って何だ?気楽に生きよう!その二律背反をこの番組は表している。この番組がドラマやバラエティ、モキュメンタリーだったとしてもどうでもいい。人の生き方って、そんな発見をさせてくれる作品だったと思う。

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