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2015/03/06

「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」を観る

 今夜は一人でジョン・ファヴロー監督・主演の「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」を観てきた。原題はシンプルに「CHEF」。マンガで昔「ザ・シェフ」というのがあったが、こちらはラテンのノリで描くロードムービー。人気レストランのシェフが人気グルメ・ブロガーと衝突して失職。元妻との実子と真の交流を果たす事で料理に再起する姿が描かれていく。

 

 この作品は実に魅せ方が巧い。冒頭数分でジョン・ファヴローは腕利きのシェフだと判る。きっと本人も料理が好きだと思うし、野菜を切り刻む包丁さばきも巧みだ。調理場のライブ感、料理の写し方等、実にテンポがいい。一方で隔週末に会う息子とはうまくいっているようで浅い関係。そんな折、職を失った元夫を子守のついでに屋台(フードトラック)を出すよう元妻は切り出す。その起点が彼ら元家族の原点、マイアミだ。

 

 話の中心がマイアミらしく全体的にキューバ音楽が散りばめられている。その上で描かれる親子関係に湿っぽさは無く明るく、時に仕事の厳しさをみせ息子を諭す。同じ場で仕事をする事でお互いを知る。それが親子の絆を強め、主人公は息子の成長に気づく事になる。マイアミから始まり、テキサス、ニューオリンズ、そしてロスと一緒に過ごす二人を終盤で再確認する演出もいい。

 

 “今"を描く作品らしくネットにブログ、ツイッターにヴァインと目白押し。本作ではそうしたアイテムが流れを殺す事なく上手く活かされている。そして特筆は助演のジョン・レグイザモの存在だろう。時にスペイン語、厨房でもラテンのノリで主人公を牽引し、屋台を助ける。どの作品でも時に主役を喰う名バイプレイヤーだ。加えて「アイアンマン」繋がりのロバート・ダウニーJrにスカーレット・ヨハンソン、ダスティン・ホフマンと他のキャストにも抜かり無し。料理と音楽に魅せられ、ちょっと心が温かくなる良作である。それとこの作品の鑑賞に空きっ腹は禁物です。

 

150306

 

 

 

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