「波のうえの魔術師」を読む
石田衣良原作の「波のうえの魔術師」を読んだ。Amazonを開いた際、何気に目に飛び込みずっと気になっていた。ドラマ化されていたようだが、あまり覚えていない。
就職浪人の白戸は小塚という老人と出会う。テストされた白戸は小塚の下、株式取引を学ぶ。やがて合格を勝ち取った白戸は株式市場という波に乗り込んでいく。そんな中、小塚は白戸にある計画を持ち出すのだった。
この作品は一見、経済もののようだが、中身は青春小説である。石田衣良らしく何処かに青臭さに大人の目線、そして痛快さを秘めている。主人公・白戸則道の成長物語であり、ラストに控えるほろ苦さ。物語の違いはあれど「ショーシャンクの空に」に相通じる味わいがある。
経済小説としては株式取引、小塚老人を通して経済学、市況感が描かれており、勉強にある。そこにバブル時代に社会問題となった変額保険を取り上げている。そこにまつわる復讐劇こそこの物語、もう一つの柱。物語に時節が織り込まれているからこそ、リアリティが生まれる。そこがこの作品の面白いところだ。
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