« 「波のうえの魔術師」を読む | トップページ | 「第87回アカデミー賞授賞式」を観る »

2015/02/14

「世界一の馬をつくる」を読む

 「世界一の馬をつくる」を読んだ。ノースヒルズ代表である前田幸治さんが自身の取り組み、生産馬、所有馬、生産牧場、今や前線基地として有名な大山ヒルズを振り返る。二年連続日本ダービー馬を送り出し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのオーナー・ブリーダーである。オーナー・ブリーダーというとかつてメジロ牧場が有名どころだったが、今や解散。それだけでなく日本の馬生産界はサンデーサイレンス系の隆盛に社台グループの一人勝ち状態となっている。そこに一矢放ったのが、チーム・ノースヒルズなのである。

 今のノースヒルズは前田さんの貪欲さの賜物、それだけでなくチーム・ノースヒルズの成果なのは間違いない。そこにある前田さんのリーダー論、人の繋がりを尊う考え方、競馬への取り組みは結果を出しているがゆえ、本書は非常に読み応えがある。新参者ゆえに成功者、海外のノウハウを取り込んだというが、そこに行き着く判断力が素晴らしい。既成概念からの脱却、新人の起用。人を活かす組織作りは競馬に限らず、一般社会にも通用する内容である。

 ただ社台グループも黙っていない。この本の中でも触れているが、彼らもそのノウハウを得るべくノースヒルズを訪れている。「秘密ではなくなってしまうわけだが、それによって日本の生産界全体のレベルが底上げされるのなら大歓迎」とまとめている。そもそも二頭のダービー馬の父は社台グループの種牡馬とくれば、共存の上の出来事。あくまで「世界一の馬をつくる」ためにはとにかく貪欲、そしてチャレンジ精神に富んでいる。

 残念ながら現時点、ノースヒルズから世界一の馬は生まれていない。しかしトランセンドはドバイワールドカップで2着に善戦、今も二頭の現役ダービー馬が世界制覇へ控える。そのうちの一頭、いよいよ復活したキズナが京都記念に出走する。果たして今年の大目標、大願成就へのステップとなるだろうか。同じく素質馬ティルナノーグも同日の共同通信杯に出走、クラシック戦線を賑わす。これからもチーム・ノースヒルズへの興味は尽きない。競馬ファンなら必読の一書だ。

150214


|

« 「波のうえの魔術師」を読む | トップページ | 「第87回アカデミー賞授賞式」を観る »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/58265/61136819

この記事へのトラックバック一覧です: 「世界一の馬をつくる」を読む:

« 「波のうえの魔術師」を読む | トップページ | 「第87回アカデミー賞授賞式」を観る »