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2015/02/23

「第87回アカデミー賞授賞式」を観る

 WOWOWで放送された「第87回アカデミー賞授賞式」の日本語字幕版を追っかけ再生で観た。帰宅は夜10時。毎年楽しみにしているし、レコーダーの残り容量も考えそのまま観始めた。

 毎年触れているが、アカデミー賞、映画文化は良い部分のアメリカの鏡である。授賞式はそのお祭りであり、最高のエンターテイメントを提供する。身も蓋もないインタビューに終始する何処かの国のアカデミー賞とは月とスッポン。今年も驚きと感動に溢れた授賞式だった。

 作品賞ノミネート8作中、4作は日本未公開。毎年の事だが、作品賞狙いの日本公開は興行的に授賞式後に組まれてしまう。作品賞は「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が獲ったが、主人公の妄想が命のこの作品で、翌朝のめざましテレビで思いっきり映像ネタバレし、それを不意に観てしまったのが悔やまれる。

 授賞式の司会はニール・パトリック・ハリス。どこかで見た顔とすぐに「ゴーン・ガール」、ストーカーまがいにされたあの彼と思い出した。その時のシリアス顏とは正反対。司会は軽妙、流石司会者の人選に狂いなし。Yahooニュースにも白ブリーフ姿の件が出ていたが、その程度のバードマンネタなら文句なし。めざましテレビのネタバレはとにかくやり過ぎだと再度釘を刺しておく。

 見どころはパフォーマンスと受賞スピーチ。個人的にパフォーマンスで最も驚かされたのが、レディー・ガガだった。作品賞受賞、公開50周年を迎えた「サウンド・オブ・ミュージック」トリビュート企画で一人メドレーを歌った彼女。オーソドックスな白いドレス姿にオーケストラをバックに美声を聴かせる。ビートに派手な踊りの姿はそこにない。ピュアで美しい歌声は観る者を鷲掴みする。直後、プレゼンターで登場したジュリー・アンドリュースも納得の満足顔。しばらく洋楽から離れていたが、そんなガガが気になりだした。

 受賞スピーチに共通するのはアメリカの暗部。受賞の喜びとアメリカの抱える問題への警鐘があった。助演女優賞のパトレシア・アークエットは女性の平等を、脚色賞のグレアム・ムーアは思春期、個人的な違いの問題を、作品賞と監督賞のA.G.イニャリトゥは移民問題を語っていた。それだけでなく長編ドキュメンタリー賞の「シチズンフォー」はスノードン事件を扱いジャーナリズム、短編ドキュメンタリー賞の「クライシス・ホットライン」は退役軍人のケアを訴えた。その受賞後、「アメリカン・スナイパー」で主演賞ノミネートのブラッドリー・クーパーが映し出されたのも印象的だった。

 笑いと感動、硬軟織り交ぜつつ、今年もハリウッドの祭りは終わった。気がつけば午前2時になっていた。

150223

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