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2015/02/07

再掲、追悼ステイゴールド。2001年遊舟競馬賞「ステイゴールド(黄金旅程)号」 より+コメント

 二〇〇〇年の年度代表馬テイエムオペラオーも二〇〇一年のGIが一勝。ライバルメイショウドトウが一勝、東京巧者のジャングルポケットが二勝、岩手・香港・東京のGI三勝のアグネスデジタルと年度代表馬選びの難しさ。圧巻だった武蔵野S、JCダートでの着差のクロフネも忘れられない。また騎手ならオリビエ・ペリエ、ケント・デザーモ等、再び外国人騎手が注目された年だった。とにかくワールドワイド、いろいろあったという事なのだが、あまり難しく考えず一年間通して競馬界を盛り上げた馬にこそ賞をあげるべきだと考えた。それがステイゴールドである。

 今年は日経新春杯で強さを見せ、そのままドバイに進み、G2戦シーマクラシックで猛烈の勝負強さを見せ負かした相手があのファンタスティックライト、二〇〇一年エミレーツワールドシリーズの覇者である。京都大賞典の降着を間に挟み国内GIを連戦、そして暮れに控えた海外GI香港ヴァーズにて同じゴドルフィン所属、エーカーの大逃げを再び強烈な脚で差し切った。何と一番人気、そしてこれが彼初めてのGI勝利でもあった。また同日香港GI三連勝の口火を切った記念すべき勝利でもある。

 近年最強馬の一頭に数えられるスペシャルウイークと同世代。ステイゴールド、彼こそ外弁慶という言葉が似合う。鞍上武豊の「彼はゴドルフィンの青い勝負服を見ると勝負に燃える」という言葉の通り、今年の海外重賞二勝の相手がゴドルフィン所属馬だった。まして世界ナンバーワンの鞍上デットーリを捉えたのである。武豊の感慨もひとしおだろう。そして餞(はなむけ)のGI勝利。

 過去GI戦四連対、武豊が鞍上ともなれば人気になるのは頷ける。だが何故か国内でのGI戦で勝つに至らなかった。スペシャルウイーク、グラスワンダー、サイレンススズカ、テイエムオペラオー等の名馬が相手だったのだからやむを得ないとも云えるのだが、今年勝った相手が世界チャンプのファンタスティックライトというのも不思議な話。さらに四十七戦五勝、うち二勝が海外という不思議な馬。でもそれだからこそ、その強さを認めなければならない。

 海外競馬に進出が活発になった昨今、けっして国内の善戦マン全てが勝てる保証はないが、その活路を開いた勝利。そしてそんな記念碑的な二〇〇一年。彼とは馬券の面(特にGIで)でほとんど縁がなかったが、ドバイ、香港とグリーンチャンネルの中継で胸を熱くさせた力走は忘れないだろう。競馬暦の中でもこんな時は瞬間は過ごせない。馬券を超えてロマンを競馬に感じる瞬間でもあった。GI勝ちおめでとうステイゴールド、そしてさようならステイゴールド。(2002/1/3)

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 この文を書いて13年。当時は希代の個性派の一頭として引退を偲んだ。そこに産駒への期待は一切書かなかった。しかしその後はご存知の通り。ステイゴールドは種牡馬としてオルフェーヴル、ゴールドシップ、フェノーメノ、ナカヤマフェスタ、レッドリヴェールらG1馬を送り出した。特にオルフェーヴル、ナカヤマフェスタのように凱旋門賞で大きな爪痕を残す等、外弁慶の遺伝子は見事に受け継がれている。そしてオルフェーヴルは日本最強馬の呼び声が高い(個人的にはそう思っている)。

 引退後、2005年夏、ビッグレッドファームで放牧されていたステイゴールドに会った。小柄の馬体の印象を残しつつ、のんびりと過ごす姿がそこにあった。社台が自家生産馬であるステイゴールドを手放した理由は判らないが、社台以外にも広く供用された。だがそのおかげで様々な可能性、様々な産駒が生まれた。非社台の生産馬、ナカヤマフェスタ、ゴールドシップは良い例だろう。ターフではオルフェーヴルの全弟を始め、さらに残された産駒のデビューも控えている。希代の個性派の遺伝子は産駒、そしてオルフェら次世代から繋がれていく。改めて、さようならステイゴールド、合掌。

1502071


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