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2014/11/09

「キャプテン・フィリップス」を観る

 WOWOWで録ってあった「キャプテン・フィリップス」を観た。「ボーン」シリーズや「ユナイテッド93」のポール・グリーングラスによるノンフィクション劇。オスカー俳優トム・ハンクス演じるフィリップス船長が駆る貨物船がソマリア沿岸沖で海賊に遭遇。その攻防と顛末が描かれていく。

 巨大な貨物船を襲う漁船2隻。まるで巨象に挑む蟻2匹で一見暖簾に腕押しのようだが、その例えの通りに隙を突く奇策で貨物船は奪取されてしまう。貨物船はただ海賊を待つだけでなく、しっかりと訓練、準備の末の出来事。海賊も狡猾で緻密な戦略で貨物船を襲うのだ。奪取後も両者は様々な駆け引きに及び、話が大きく動くのはフィリップスが一人拉致されてからとなる。

 そこからの緊張感はリアル志向のグリーングラス監督ならでは。絶えず続く心理戦、両者とも死と隣り合わせ、主客逆転のたびに変わる立場。しかしフィリップスだけは変わらない。そして時が訪れた瞬間、彼の手に握るもの、それこそが生き残る意志の象徴であった。だが解放後に感じたのはとてつもない緊張の余韻であり、簡単に消え去らない。そうした心理を演じるハンクスは終始さすがの力量でみせる。

 力の攻防の果て出てくるのはやはり世界の警察、アメリカ海軍の登場だ。主客逆転、彼らが出てきたところからじわじわと海賊側を追い詰めていく。力に力の論理はこの映画を見てしまうと肯定せざる得ないが、冷静にみればその背景は複雑。「ブラックホーク・ダウン」ではゾンビ扱いされたソマリアだったが、ムセを演じるバーカッド・アブディの熱演もあって僅かながらも彼らの立場は垣間見える。若干アメリカのプロパダンダ臭はあるものの、観て損はない作品だ。

141109


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