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2014/11/08

「人類資金」を観る

 日本映画専門チャンネルで録画しておいた「人類資金」を観た。福井晴敏原作、阪本順治監督という「亡国のイージス」のコンビによる作品。事前にM資金、世界ロケによるスケール感だけは耳に入っていたが、内容はどんなものかとは気になっていた。

 確かにロケはロシア、東南アジア、アメリカ・ニューヨークに及ぶ。しかし2時間20分の尺の割に展開はダレ気味。阪本作品らしく男臭い布陣のキャスティングだが、(誰とは言わないが)フジテレビのドラマ組キャストの演技がブレーキ。アクションもあるが、ほとんどがセリフ(というか説明)と演技合戦。それだけにその”ブレーキ"が最後まで足を引っ張る。英語のセリフも無理を感じた。そして最後までこの作品に感情移入できなかった。

 その理由は物語のスケール感とその実体の乖離にある。タイトルの醸すコケオドシに対し、実際は二つの組織同士、M資金を巡るマネーゲーム。資金財団と理想を掲げる敵対組織の戦いと言ってはカッコイイが、ほとんどが詐欺師の化かし合い。金融の本質は化かし合いかもしれないが、そこに緊張感もなく映画としては物足らない。取って付けたようなアクションも無駄に見える。

 観終わってこの作品の目的は何かと尋ねられたら困る。カペラ共和国という存在を通し、世界のあるべき姿を説く。その目玉が演説シーンだ。そして演説を見ていてつい「ガンダム」の演説(いくつかあるが)を思い出していた。福井氏はガンダムの世界に心酔し、自らもガンダムUCを手掛けている。演説に内容の違いはあるが、議場に漂うカタルシスは変わらない。しかも舞台は本物の国連。福井氏はこの作品を使って、これこそがやりたかったのだろうと思う。

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