「クロニクル」を観る
朝から昨夜WOWOWで録ってあった「クロニクル」を観た。冒頭、PG-12と「画面が揺れます」の警告が出る。PG-12は昨今の暴力表現ゆえ想定の範囲。「画面が揺れます」の理由は映画が始まりすぐに気付いた。古くは「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」、最近なら「パラノーマル・アクティビティ」で使われる、ビデオカメラで撮ってますよ手法で物語はスタート。登場キャストも無名であり、より似た雰囲気を醸す。ただそれはリアル感を演出する導引であり、あくまでこの物語の面白さは別のところにある。
高校のパーティーを抜け出した3人がある物体に遭遇し、超能力に目覚めていく。単なる遊びだったその”力"が、その一人アンドリューの内気だった心を変えていく...物語に関しここで多くは語らず。冒頭でのビデオ映像は観客に対する仕掛けでもあり、実際は超能力を身につけたアンドリューたちの青春が描かれていく。ビッグバジェットなら悩めるヒーロー、「スパイダーマン」になるのだろうが、彼らはそう行かない。いや、行かせてくれない。
レゴを浮かせるささやかな”力”が、BMWを、そして自らを動かし、そして内なる何かが変わっていく。超能力を扱いながら実にパーソナルだ。「大いなる力には大いなる責任を伴う」と説いたスパイダーマンだったが、本作ではその責任が解き放たれた時、アンドリューの心の歯車は狂っていく。それを見つめる従兄弟のマット、リーダー格のスティーブ、3人の青春の行き着く先とは...
ハリウッドとしては低予算、83分の小品なため、ド派手なクライマックスは僅か。そして適材適所。だが派手な音楽、BGMを廃し3人に感情移入しつつ、物語に没入させる手腕は確か。もしハリウッドが「AKIRA」を撮ったらこんな感じになるのでは、と少しだけ期待させてくれる。「キック・アス」でマシュー・ヴォーンの才能が飛び出したように、ジョシュ・トランク、マックス・ランディス本作の製作コンビに才能を感じた。「クロニクル」は大オススメの作品だ。
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