「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を観る
久しぶりに盟友N氏と映画へ、トム・クルーズ主演「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を観てきた。「ボーン・アイデンティティー」のダグ・ライマンがメガホンを取った話題作。舞台は謎の未確認生物の侵略を受けた未来。「時をかける少女」でおなじみタイムリープを物語の軸に、戦いの決着を期すべく死と戦闘経験、ループする主人公ケイジの姿が描かれていく。CMの通り、日本のライトノベルが原作(桜坂洋氏作)という事もあって深みのあるSF作品に仕上がった。セリフや表示に多く日本語が飛び出すのも楽しい。原題は邦題と異なり「Edge of tomorrow」。
トムがインタビューで”コメディ”と称した通り、初期のケイジは奇妙な体験を繰り返す一兵士。しかしリタや他の兵士たちとの出会いの中で戦士として成長していく。特に最終決戦に向かう際の表情は冒頭の彼とは違う。それを演じ分けるトム・クルーズがいい。どれだけのタイムリープを繰り返しているのか、主人公のみが知る物語も面白い。この展開を経験したケイジなのか、時に観客はトラップに陥る。恋愛的な面も巧みだ。強さと脆さを兼ね備えるエイミー・ブラントの戦士ぶりもいい。物語のトリッキーな作りは興味深いが、それを味わうには少し大人向きかもしれない。
これら物語とアクションのバランスを取るのがダグ・ライマン。ビジュアルは「プライベート・ライアン」を彷彿させる程に凄まじく、そこに卓越な物語を配する。一見単調そうになりうるタイムリープも、緩急を織り交ぜた演出で飽きさせない。ギタイとの戦いはCG頼りだが、ライブアクションの部分にも力が入っている。経験を積んだケイジが巧みに強化スーツを使いこなしてギタイを倒す姿は爽快だ。
暑い夏は暑気払いに冷えた映画館で、そして毎年夏の大作にトム・クルーズは欠かせない。毎度外れの出ない、少ない、正真正銘のマネーメイキングスターはトムの他に居ない。本作もそうした中の”当たり"の作品としてオススメしたい。なおこの作品は3Dで鑑賞したが、時折飛び出しを意識した演出はなされているが、それ程の必要性を感じなかった。
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