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2014/05/06

「誰も書かなかった 武豊 決断」を読む

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 島田明宏著「誰も書かなかった 武豊 決断」を読んだ。天皇賞・春で一番人気に支持されたキズナ、武豊のコンビであったが、追い込んで4着と惜敗。ただここ数年、競馬界で逆境に立たされた武豊が、復活のキッカケを生んだのがキズナとの出会いと言っていい。鮮烈なデビューからスペシャルウイークでの初ダービー制覇、自身が重圧に耐えて騎乗したディープインパクト、そして今までの姿を武の「心友」である著者の目を通して振り返る。まるで武豊の道程を間近で見る思いがする作品だ。

 国内での実績はこれまで伝聞されたものも多いが、そこに裏打ちされた勝負師、武豊の姿がこの本に著されている。常にプロフェッショナルである武の本音が著者の目を通して感じられた。平成三強(イナリワン、スーパークリーク、オグリキャップ)の全て、伝説の桜花賞出遅れ、サイレンススズカの死、そしてディープインパクトの衝撃等、読みどころは多い。中でもダービーを勝つまでの試行錯誤は5勝という形で今も続いているが、そこに至った意識こそが成せる業なのだろう。これからも若駒から彼が騎乗、ダービーに参戦した馬に注目せざる得ない。

 本作で特に興味深かったのは海外での騎乗の事だ。海外GI制覇ばかりに目が行き、アメリカ、フランスと長期滞在での出来事はこれまであまり伝わって来なかった気がする。思うように進まなかったアメリカでの最初の武者修行からのちにフランス、ハモンド調教師からのオファーに至るまで確実に実績を積み、世界的な評価に至っている騎手は日本で今や武豊以外にいない。それだけにフランスで本格参戦した最初の年に途中ケガで帰国を余儀なくされた点が残念でならない。

 その後、ご存知有力個人馬主との確執、2010年の落馬以降での騎乗馬の激減に至る。今の社台グループとの関係は著者の言葉は少ないが、生産界と騎手の最強コンビこそが世界で戦うべきと言っているし、ボクもそう思う。短期で効果を上げる外国人騎手起用にばかり向かうだけが日本競馬の未来ではない。そしてこれまで武豊が築いた人の繋がり、実績こそがキズナでの復活、GI100勝目を後押ししたのだ。とにかくこの本では実に一つ一つのエピソードが細かく描写されている。読み始めるとあっという間。春のGI真っ只中、是非この本でこれまでの武豊、彼の競馬の旅を追体験してみてはどうだろうか。


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