「マン・オブ・スティール」を観る
今夜はクリストファー・ノーラン印となったスーパーマン・リブートこと「マン・オブ・スティール」を観てきた。 バットマン三部作を完結させたクリストファー・ノーランが肉体派CGならおまかせのザック・スナイダーを監督に迎え、ワーナー、DCコミックと先々を見据えて装いも新たにスーパーマンを描く。脚本もノーランとデヴィッド・S・ゴイヤーによるものでこれまたバットマン印。渋い色彩となったコスチュームに重ーいハンス・ジマーの音楽とやっぱりバットマン尽くし。
物語はクリストファー・リーブ主演の第一作と同じく、破滅寸前の故郷クリプトン星を父の手によって脱出、地球で育ったカル・エルが自らの特殊能力に悩みつつも運命に立ち向かっていく姿が描かれる。特に思春期、青年期のクラークは銀塩度の高い映像のためか詩的でかつ情緒的だ。加えて地球での育ての親がケビン・コスナーにダイアン・レインと主役級が脇を固める。個人的にはかつての青春スター、ダイアン・レインの老け具合(特殊メイクのせいゆえ?)は何処か時代を感じさせる。ゾッド将軍は出てきて早々、たけし軍団の水道橋博士に見えてしまうアクシデントはあったが、中盤までは充分に楽しむ事ができた。
ただ旧作との違いはここからだ。単なる人助けスーパーマンの連綿ではなく、同じクリプトン星人の宿敵ゾッド将軍との戦い。とにかくその描写は凄まじいの一語。9.11以降、現実は映画を超えた。だからこそ劇画的アプローチでなければ乗り越えられない何かがあり、本作ではそれを徹底している。一瞬デザスタームービーと思ってしまった程だ。そこに人一人の命にせめぎ合う人命救助の余裕すらない。とことんビルは破壊され、街は瓦礫と焼け野原。とにかくノーラン印スーパーマンは正義の名の下、人類を救うため、大義のために戦うのだ。「マトリックス・レボリューションズ」以降お約束となった「ドラゴンボール」的な戦いが繰り広げられていく。その静と(激)動のバランス感覚を支持するかで本作の評価は変わるだろう。新設定、新たな解釈も気にならなかったし、ヘンリー・カヴィルのスーパーマンぶりは良かっただけに心理的に少々煮え切らない面は残った。
なお今回のリブートにあたりワーナー、DCコミックと先々を見据えているのはDC版アベンジャーズ「ジャスティス・リーグ」、既に次作でバットマン(演じるはベン・アフレック?)との競演が決まっている。その先にある新たな展開に期待しつつ本作を観るのも良いだろう。
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