「アルゴ」を観る
今日はとある事情で休みになったので、今年度アカデミー賞作品賞受賞の「アルゴ」を観てきた。オスカー受賞後の凱旋上映という事もあり、昼間の上映でも中々の入り。冒頭、イラン革命下のアメリカ大使館に観客は放り込まれる。アメリカへの抗議、門前に集まる群衆。劇場の音響もさることながら、記録映像と今回のモブシーンの虚実が入り混じり、猛烈な緊張感に包まれた。本作は占拠された大使館を脱出した6名の外交官達の国外脱出、人質奪還の実話だ。
この作品の興味深いところは「ハリウッド作戦」だという事。だからといって能天気なものではなく、冒頭の緊張感を受けるもの。ただ世間を欺くためにほぼ本気の製作発表を行い、そこに集まるキャラクターはウケる。「アルゴ、クソ喰らえ!」と裏腹に本気度100%、実は本作の影の主役はプロデューサー役のアラン・アーキンでもある。
「偽装だけが銃から身を守る」
ストーリーボードを説明し、敵兵の心を掴む。ロケハン隊に扮した一人が命懸けで伝え、緊張感の中、脱出機に向かう。結末はわかっているとはいえその緊張感といったら、こちらこそ小便を漏らしそうな位だった。
親米プロパガンダ映画だと揶揄されるが、それなりのフィルタを持つ人が観れば、その色は薄い。冒頭手短ながら解り易いイントロダクションにもその点は現れていた。また6人を守る、その任務を終えたベン・アフレック演じる主人公の安堵を通し、なかなか訪れない平和への歯がゆさを感じる。
この作品を観た瞬間、70年代へタイムトリップ、とにかく徹底している。そして何から何まで70年代なりの情報戦であったからこそ、作戦が成し得た点も少なくない。その世界観に没入させる画面のタッチといい、ドライ感、そしてベン・アフレックの演出力、映画愛に溢れた作品である。
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