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2012/12/08

「人生の特等席」を観る

盟友N氏と今年最後の劇場映画の意気込みで、ハリウッド最後の頑固オヤジ、クリント・イーストウッドの「人生の特等席」を観てきた。主演最終作と目された「グラン・トリノ」の後、彼が再びスクリーンに戻ってきてくれたのは嬉しい。イーストウッドといえば、思春期にハリー・キャラハンで刺激を受け、円熟期の監督作群に圧倒されてきた。本作はイーストウッド組の後輩 ロバート・ロレンツにメガホンを預け、彼自身としては肩の力を抜いた出演作となっている。

本作はトップロールこそイーストウッドであるが、 娘役のエイミー・アダムスとのダブル主演といっていいだろう。がっぷり四つ、父娘がぶつかり、一つの山を乗り越えていく姿が描かれていく。老スカウトのガスと弁護士の娘ミッキーは一見、頑固オヤジと優秀な子という関係にみえるが、共に心に傷を負い、何かを引きずってきた人生であった。だが二人を結びつけるのが、ガスの仕事でもある野球。「フィールド・オブ・ドリームス」の台詞じゃないが、アメリカに欠かせない文化である。

この映画を観ているとハリウッドの懐の深さを感じる。野球を同じ側面から描いた「マネーボール」(この作品も面白かったが)に対し、アナログ的アプローチの本作がある。原題にもあるカーブをモチーフとして、人生を重ねるテーマが巧い。しかしそれだけにとどまらないのはイーストウッドの名演にある。台詞で語らずとも顔の皺(しわ)、しぐさ、表情と言葉以上に訴えるものを感じる。出来過ぎな展開は少々あれど、この作品は役者=イーストウッドで魅せるだけに全く気にならない。

物語もう一つの軸はエイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイクの"恋ばな"だが、こちらも野球映画らしい台詞に溢れている。二人の関係だけで十分ストーリーは成り立つが、加えてイーストウッドが居るから贅沢だ。古き良きアメリカ映画を彷彿とさせるシーンもあり清々しい。野球映画であり、ロードムービー、恋、そして親子...本作はドンパチもど派手なVFXもないが、楽曲「ユー・アー・マイ・サンシャイン」と共に心に染み入る作品なのである。

121208

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