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2012/03/04

「ドラゴン・タトゥーの女」を観に行く

 今日はデビッド・フィンチャー監督の最新作「ドラゴン・タトゥーの女」を観に行って来た。主演は007のダニエル・クレイグとあってついアクションものを連想してしまうが、フィンチャーらしく実にサイコできわど過ぎるスリラーに仕上がっている。冒頭の一時間は様々な情報、ピースを提供されるだけだが、まもなく点と線が結ばれ始めたところから一気に最後まで突っ走る。特にドラゴン・タトゥーの女こと、リスベットの存在感が凄い。演じたルーニー・マーラーはアカデミー賞最優秀賞を逃したものの、個人的に彼女の存在は「羊たちの沈黙」のレクター博士以来のアンチヒーロー(ヒロイン)出現を感じた。

 本作は猟奇的なグロさをみせるよりも、真相に向かう謎解き、その手法と過程が面白い。リスベットは優秀なハッカー、パソコンの使い手であり、腕っ節も強い。そのためにMacBookを壊し、文字通り痛い目にあってしまうのだが、その逆境からの立ち直り、形勢逆転ぶりはまさにレクター級なのである。ちなみにこの作品はコロンビア映画、すなわちソニーピクチャーズの作品。「VAIOを使わないのか?」と勘ぐる無かれ。フィンチャーは名を捨てて実を取ったのだ。特にスタイリッシュでスピーディーな演出にはMacが不可欠。特にリスベットの使いっぷりには驚かされる。ただしVAIOも重要な使われ方もされてます。

 ダニエル・クレイグ演じるミカエルは優れた記者であり、卓越した洞察力で真相に迫るが、行動力ではリスベットと対照的だ。Macの使いこなしもリスベットには大きく劣る(ミカエルがキーを叩く姿にリスベットが歯がゆさをみせるシーンは笑える)。しかし下半身はややだらし無い。それがリスベットに喜びと悲しみをもたらすのだが、男性観客はもてる彼に嫉妬するだろう。尽くしたリスベットにもたらされたエンディング、そのドライ感は実に物悲しい。この作品に出てくる男、実にどの男(祝オスカー受賞のクリストファー・プラマーを除き)もろくな連中ではなかったが。

 R15+指定にするために大面積のデジタルモザイクが掛かり、やや辟易するところもあるが、実に現代的でスピード感溢れるスリラーであり、当たり外れの激しいフィンチャー監督の中では間違いなく当たりの部類と言っていい。北欧のロケーションもフィンチャーの持つフィルムタッチと相まって実に魅力的に映る。ただしカップルで観に行くにはかなり過激なので注意。いや二人の盛り上がりのために火を点けてくれる作品かもしれないが。三時間弱の上映時間はあっという間の出来事だった。とにかくいずれにせよ、いろんな面でご注意されたし。

120304

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