「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」を観る
チャールズ、エリック達が帰ってきた。原題「X-MEN First Class」、タイトルもコミックシリーズから引用されたもの。「X-MEN」シリーズも他のアメコミ映画同様に原点回帰。若き日のチャールズ達の活躍が描かれる。加えてこれまでのシリーズの源流となるエピソード、人間関係、アイテムが目白押し。上映中、終始にやけてしまう程興味深かった。そして個人的に嬉しかったのは(製作とはいえ)ブライアン・シンガーの帰還である。
残念ながら三部作最後の「ファイナル・ディシジョン」は、シンガーの途中降板から散々な結果に終わった。一方、そんな彼が浮気した「スーパーマン」の新シリーズも興行的に失敗、次作が製作中止となった上、紆余曲折を経て(?)晴れて元サヤとなったわけだ(それでも~リターンズは良作だと思うが)。復帰した本作を観ていて、彼のこだわった「X-MEN」に対するディテールが感じられる。ミュータントとリアリティーの両立、それがシンガー印の「X-MEN」なのである。
「X-MEN」第一作の重々しい描写を彷彿とさせるプロローグだが、テンポは軽快だ。マシュー・ヴォーン監督の持ち味なのだろう。CIAのエージェントよろしく、かつての007シリーズを思わせるエンドロール、もちろん物語にもオマージュを感じさせる。特にチャールズはのちの姿と比較すると、軽快なトークとアクションがみられる。かといってダークな隠し味が絶妙でエリック、すなわちマグニートーと袂を分かつエピソードに繋がっていく。
「X-MEN」に史実であるキューバ危機を重ねたifもしも、そこから人類対ミュータントの構図が始まる。チャールズは組織を立ち上げ、ストライカーは脅威を感じ、そして"あの男"もワンシーンだけ登場。ただ本作の見どころはプロフェッサーとマグニートー、旧知の友である彼らの心の繋がりにあると思う。過去の三部作を補間する意味でも本作の位置は重要だ。果たして次はどんな展開が待っているのか、とても楽しみである。終演後、君はこめかみに手を添えるか?その手を突き出すのか?
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