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2011/05/21

「ザ・ファイター」を観る

 今夜は盟友N氏とマーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベール競演の「ザ・ファイター」を観てきた。この作品にとって共演と書くより競演のほうが正しい。クリスチャン・ベールに加え、彼らの母親役のメリッサ・レオとアカデミー助演賞を男女で受けている。それだけでなく、ミッキー・ウォード役のウォールバーグにしろ、出演者一人一人に至るまでフィジカル面を含めリアリティーに徹しており、演技に一点の隙も無い。一瞬、ドキュメントと見紛う程だった。

 内外問わずボクシング映画に傑作は多いが、その点でも本作は外していない。ボクシング映画の身上はミット音の奏でるリズム。それが心地良く、冒頭から本作でも響いている。加えて80年代のロック、特にミッキーの入場テーマとなるホワイトスネイクの「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン」はMTV時代を想起させる。劇中でもそれを意識した笑わせるセリフもあったりした。

 ただ特筆すべきはクリスチャン・ベールのなりきりっぷり。エンドロールに登場するディッキー本人の特徴をよく捉えている上、減量でなしえたルックスを含め徹底して模倣している。それが実に憎たらしく、物語前半からミッキーの足を引っ張る。ただ一つ名チャンプ、シュガー・レイ・レナードからダウンを奪った事を心の拠り所にするが、ウォードのサクセスストーリーとの対比し、哀れさを誘う。

 この作品はボクシング映画である同時に、家族再生の物語だ。いわゆるダメな大家族の典型だが、一人一人の変わろうとする決心によって成功に向かっていく(メリッサ・レオのオスカー級のダメ母ぶりも大きな見どころ)。エンディングは判っていても、密ある骨太な物語なだけにどっぷり没頭できる。ただし各キャラクターへの感情移入は期待しないほうがよいだろう。しかしながら製作を兼ねるウォールバーグ入魂の物語、演技、演出と三拍子揃った、映画通にもオススメできる傑作である。

110521


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