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2011/04/16

テレビで「グリーン・ゾーン」を観つつ思った事

  WOWOWで録画しておいた「グリーン・ゾーン」を観た。マット・デイモン主演、ポール・グリーングラス監督による、すなわち「ボーン」シリーズのコンビによるものだ。作品はこの監督さんのテイスト通りのドキュメンタリータッチ。どこまでが事実でフィクションなのか、挿入される報道映像と共にイラク戦争、米国、大量破壊兵器の真実(?)に迫っていく。「ユナイテッド93」を撮ったグリーングラスだからこそ扱えるテーマでもある。

 デイモン演じるミラー准尉はイラクでの大量破壊兵器捜索を命じられる。しかし行けどもそんなものは見つからず、組織の一人として困惑するミラー。そんな中、旧イラク軍将軍の動きを察知、接触を試みる事に...米国、旧イラク軍、イラク市民、マスコミ、そして大きな力。ハリウッドのアクション映画というオブラートを使って、混沌としたイラク情勢を描く。終盤、ブッシュ大統領の旧イラク政府、軍の解体演説に相反し、米国の答辞に対するイラク国民の心中。大量破壊兵器の真偽はあれど、ラストシーンこそ監督の気持が込められている気がしてならない。

 実はこの作品を観ていて興味深かったのは、「大量破壊兵器」と今我々が対峙している「福島原発」の位置づけが似通って見えたからだ。相変わらず良く見えない真実、全てを知るのは現場、一部の当事者。そして翻弄され、疲弊する市民。今の福島原発被災者の立場、怒りはこの作品のイラク国民に酷似する。必死に現場で原子炉と戦う人々、これに反し日本政府や東電との構図にも非常に近い。大きな力は何処の世界でも正しい力とは限らない。

 イラクの問題は中東における長い歴史の中の出来事、まだ終わったわけではない。一方「福島原発」の出来事はまだ始まったばかり。そしていつ終わるのか知れない。一過性の事件、事故に留まらない。何年、何百年、次々の世代まで解決しないかもしれない。助け合い、支えあうのは当然の事。ただそれ故に日本国民は震災以降、心に何かすっきりしない思いを続けている。今そこにある危機を日本の政治はもっと考えてほしい。

110416

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