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2010/05/29

「ハート・ロッカー」を観る

 盟友N氏と今年のアカデミー賞作品賞受賞作「ハート・ロッカー」を観に行ってきた。地方ゆえオスカー熱が覚めた頃の公開となったが、映画館で観られるだけまし。またこの作品を観た後、むしろ覚めた時期こそ冷静にこの作品を評価できよう。世間では「アバター」との対決ばかりに目が行っていたようだが、映画ファンなら全く土俵の違う戦いと判る。また今年から10作品に増えたノミネート中、アメリカの世情、テーマを含め、一番相応しかった気もする。

 イラク、バグダッドに駐留する爆弾処理班を主役にドキュメンタリー風に迫る。要所をCGや派手なエフェクトで魅せるが、あくまで爆弾処理班の三人の人間像、人間関係が中心。女性監督のキャスリン・ビグローが男勝りの演出で、汗臭く、砂を噛むような臨場感を観客に与える。特に爆弾処理を手掛けるジェームズの特異性、葛藤が目立つ。そしてそれこそが戦場の特異性でもある。ラストの行動はその際たるものなのだろう。

 しかしこの作品は反戦や何かを訴えるような偽善的なテーマ、プロパガンダ的なものも無い。そこにあるドライ感が現代的である。だからといってジェームズとベッカム少年とのエピソード等、作品に血を通わせる事も忘れていない。その後の発作的とも思える行動は感情移入を誘う。彼らを受け入れないバグダッド市民、生死を分ける爆弾処理、まさに四面楚歌の中、戦場での人間性こそがこの作品のテーマかもしれない。

 スター級の出演はレイフ・ファインズ、ガイ・ピアースらだけ、しかも出演時間は僅か。主役の三人は無名ながらむしろその存在感がリアリティーを与える。ショッキングなシーンもあるが、その臨場感は映画館でこそのもの。いや臨場感だけではなく、戦場の心情感を観る映画だと思う。今なお続く戦争の傷跡、肯定も否定もしないこの映画のスタンスは支持したい。

100529

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» 『ハート・ロッカー』お薦め映画 [心をこめて作曲します♪]
骨太な作品で、センチメンタルな表現は一切ない。今まであまり知られていなかった爆発物処理班の仕事において、彼らがいかに危険で過酷な状況の中、使命感を持って仕事を遂行しているかを知ることができる。... [続きを読む]

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