「ターミネーター4」を観る
今夜は盟友N氏を誘い、「ターミネーター4」を観てきた。夏休みの劇場は子供向け作品ばかりで、正直今日観るならこの作品しかなかった。以前、このT4に対する不安を漏らした事があるが、映画の日で千円なら後悔しないはずと思った次第。しかし幕があがってからも、マックGに対する不安は晴れなかった。そして本作でターミネーターの居る未来、ついにパンドラの箱は開かれた。だが今観終えた後の感想は、意外にしっかりできていた作品となっていた事だ。
まずこの作品に沿って、ジョン・コナーはリーダーの道を辿っていく。母サラの遺した予言を背景に終戦に導く存在。だがその予言を揺るがす者が現れる。本作のキーマンであるマーカスだ。個人的にネタバレしていたために、キャラ的な驚きは無かったが、演じるサム・ワーシントンが中々魅せてくれる。むしろジョンを喰って、ジョン以上に主役といっていい。原題は「Terminator Salvation」、彼はSalvation(救済)の意味する部分を一身に受ける。
もちろんこの作品の興味は既に描かれた運命、その先あるいは過去の出来事とのリンク。おなじみT-800は、ターミネーターの進化の一つとして登場する。T-800以外にもビジュアルで魅せるアイテムが数々登場、迫力のあるシーンが展開される。そして何よりもジョンの父、カイルがジョンの目の前に現れる事。もう一つのSalvation、ジョンは彼を救う事ができるのか。これら物語を軸にクライマックスへ、ジョン、マーカス、カイルの運命は交錯していく。確かに、確かに物語は良くできている。
しかしこの作品最大の運命こそ、第一作や第二作T2と比較される事だろう。つい粗探しして観てしまったほど。そんな中で惜しまれるのは、提供されている様々なプロットを活かしきれていないところ、人物相関があっさりしているところ等(配給元を意識して、VAIO Uにソニーのロゴがアップになるのもどうしたものか)。また救済は解るが、シリーズとして運命という最大のテーマにメスが入っていない。ジョンは本当にマーカスを知らなかったのか?最終的にはタイムパラドックスというどつぼにハマってしまう。
ただおバカ映画監督、改めマックGに対する不安は少なからず晴れた気がする。ついレクターシリーズ三作目「レッド・ドラゴン」を観終えた後と同じ気持ちになった。ブレット・ラトナーに対する不安、意外に上手く撮れていた事等。あれも脚本、名演、音楽に助けられていた気がする。奇しくも音楽は本作と同じ、ダニー・エルフマンだったりして。興行も大成功と言い難い中、果たして予定通り三部作のままか、次作で完結をみるか、今はマックGの運命に最も興味があったりして...
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