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2009/05/21

「スラムドッグ$ミリオネア」を観る

 今年の米アカデミー作品賞、ダニー・ボイル監督「スラムドッグ$ミリオネア」を観てきた。オスカー作品ながら、誰一人ハリウッド俳優は出ていない。登場人物は全てインド人であり、物語の前半、多くの部分で英語字幕が現われる。一見、外国語映画賞の対象となってもおかしくないが、青年となった主人公たちは英語のセリフが中心となるため、割合として外国語映画の規定に引っ掛からないのだろう。

 物語は主人公ジャマールを軸に、貧困から悪の道に手を染める兄サリーム、同じ貧困の中育った少女ラティカの運命が描かれる。全世界で放送される「クイズ$ミリオネア」はその糸口の一つであり、重要なのは彼らが育った過酷な環境、半生にある。それはインドの辿った歴史でもある。そこに善を通して生きるジャマール、相反するサリームが重なり、ある意味、インド版の「フォレスト・ガンプ」的な面もある。ただ時にユーモアを交えるも、本作のほうがシリアスな作品だ。

 「クイズ$ミリオネア」のホスト(日本のみのもんた並みに曲者!)、構成は各国独自であるが、番組ルールは共通。もちろんこの作品中、番組テーマやジングルまで同じなのである。それゆえ舞台がインドながらも、物語のとっつき易さを生んでいる。だが個人的には問題を解き続けるよりも、その後に待っていた運命に感動した。やはりこの作品は人間ドラマである。またここで描かれる兄弟関係にも心に来るものがある。この感情は「ラ・バンバ」以来かもしれない。

 舞台はインドながら、映像はスタイリッシュ。それこそダニー・ボイルの真骨頂であり、構図の一つ一つも印象的。もちろん音楽の使い方も上手い。エンドロールに用意されたボリウッド映画らしい演出も憎い。音楽は「ムトゥ・踊るマハラジャ」のA.R. ラフマーン。日本では「インドの小○哲哉」とプロモートされた時期があったが、今となっては随分失礼な話。ちなみに彼は本作で最優秀作曲賞、歌曲賞をW受賞している。本作は物語、画作り、音楽と三拍子揃った傑作だ。

P.S.
 もし本作が外国語映画賞の対象だったら、「おくりびと」と争っていたかもしれない。しかし日本人として「おくりびと」の与えてくれる感慨は、けっして「スラムドッグ$ミリオネア」に勝るとも劣らない。だがこの二作を並べ、評価する事自体、意味の無いものではある。

090521


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