「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」を観る
今夜は盟友N氏の誘いを受け、「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」を観てきた。劇場の窓口でタイトルがおぼつかない程、スコセッシの撮ったストーンズの映画という程度の事前知識。しかしマーティン・スコセッシといえば、ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」等、音楽映画でも才能を発揮する監督である。ストーンズとのコラボレーションは如何に、そんな気持で観始めた。
冗談なのか、冒頭のストーンズとスコセッシのやり取りが可笑しい。プロとして観客のためにステージを組み立てるストーンズ、一方最高のステージを撮ろうとするスコセッシ。ただそれは単なるつかみであり、ステージが始まればあくまで主役はストーンズだ(とはいえ、出たがりのスコセッシはラストにも登場する)。メンバーを追うカメラ割り、編集等、スコセッシの面目躍如。さらに過去のインタビューを織り交ぜ、ストーンズの道程に迫る。
デビュー以降、40年間ストーンズはとにかくブレないのだ。多少の紆余曲折はあったが、ストーンズは走り続けるならぬ、転がり続ける。進化ではなく、経験を味方にしたロックのスタンダードを演奏し続けている。今のストーンズは同期のビートルズも到達し得なかったある意味、神の領域に居るのかもしれない。静と動を兼ね備えたミックのパフォーマンス、味のあるキースとロニーのギター(相変わらずのキースのスモーカーぶりはご愛嬌)、マイペースなチャーリーのドラムワーク。四人の化学反応は"老若男女"を問わず魅了する。
2006年に行われたビーコン・シアターのライブを収めたこの作品。観客にゲストは多岐に渡り、前述の"老若男女を魅了"を裏付ける。個人的には開演前に現れたあの夫妻の登場はタイムリーであり、政治とロック産業の結びつきを見た気がする。ストーンズはロック産業の成功者でもある。そしてイギリスのロックバンドというより、ワールドスタンダードというのが正しいかも。後半にかけての名曲による畳み掛けで、興奮は頂点に達する。
とにかくマイペース、ブレないストーンズ。だがこの作品を通して感じる、彼らのプロ意識に感服するばかりだ。何処かの国のブレてばかり、自分可愛しの政治家たちに、ストーンズの爪の垢を煎じて飲ませたいぐらい。不況で冴えない世の中、今夜はアラカン(アラウンド還暦)のストーンズたちに、とてつもない元気をもらった気がする。最高だよ!ザ・ローリング・ストーンズ。本作は音楽映画の傑作だ。
| 固定リンク
コメント