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2008/03/02

「日本一のホラ吹き男」を観る

 人間誰しもめげる時がある。そんな時は趣味で発散したり、人によっては酒や他の手段に逃げる事もあるだろう。もし、そんなめげた自分を鼓舞するものがあるとすれば、自分にとっては何より映画だ。チョイスはTPOに合わせたものとなるが、元気が欲しい時には植木等の無責任シリーズの一作、「日本一のホラ吹き男」を観る。公開後、30年以上を経た作品ではあるが、画面は時代を超越したエネルギーに満ち溢れ、観るたびにノックアウトを喰らう。徹底的に非現実、ファンタジーを味わうのだ。

 ファンタジーといっても、魔法の国の出来事ではない。あくまで高度成長期の日本が舞台。無責任シリーズ全般に共通する、サラリーマンを主人公とした物語だ。何がファンタジーかといえば、あり得ない物語展開に由縁する。この作品では、元五輪陸上三段跳びの代表だった初等(はじめひとし:もちろん演じるのは植木等)が、大手家電メーカーに就職し、三段跳びの如く成り上がるというもの。ただ、よくある立身出世ものと思いきや、それに留まらないのが、無責任シリーズなのである。

 物語は植木等だからこそ成立するのは言うまでもない(とはいえ、植木さん自身は真逆で真面目な人なのだが)。黒澤作品における三船敏郎に同じ。少々言い方は悪いが、キャラクターが物語を喰ってしまう、それ程の存在感なのだ。むしろ相乗効果を生み、物語はこれ以上無いテンポで進んでいく。その上で、物語そのものも異端を進む。特に平社員(組合員)から管理職への経緯は、現代社会、いや現実にはあり得ない。あり得ない展開だからこそ、むしろ割り切って物語に没頭できる。

 この割り切りは古澤憲吾監督が構築。戦中、戦後を生きた人ゆえの哲学、活動屋としての彼の個性の表れでもある。だが、この作品を観ている間、そんな事は微塵も感じない。この世界観、割り切りは、加山雄三の「エレキの若大将」でもいかんなく発揮されている。劇中曲「君といつまでも」のシーンは、プロモの先駆けでもある。ちなみにこの「日本一のホラ吹き男」「エレキの若大将」の二作は、ボクのベストピクチャーの一群。この二作がボクの血と骨になっているといっても過言ではない。

080302

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