「トランスフォーマー」を観る(ネタバレあり)
今日は朝から、マイケル・ベイとスピルバーグがタッグを組んだ「トランスフォーマー」を観てきた。この夏男心、いや漢心をくすぐるビッグタイトル。むしろ『少年の心を持った大人たち』に捧げられた一品である。日本発、アメリカから逆輸入された玩具、アニメシリーズが「トランスフォーマー」。車や飛行機等が一瞬にしてロボットに変形。変形は日本のアニメの十八番であるが、オモチャで実現させてしまうのが、本当のジャパニーズテクノロジー。スピルバーグを魅了した日本は、黒澤明だけでなく、トランスフォーマーもその一つだった。本作ではそれらのスピリッツが如何なく発揮されている。
かつて南極で発見された無生物生命体を政府は秘密裏に隠蔽、セクター7として調査を行なっていた。そして現代、カタール駐在の米軍を襲ったのは、ヘリが変形したロボットだった。圧倒する戦闘力とテクノロジーで部隊は全滅。ヘリロボットの目的は軍の最高機密だった。時同じく、高校生のサムは中古のカマロを入手する。だがカマロには大いなる秘密が隠されていた。そしてサムの運命はその出会いから大きく変わっていく...これが物語の骨子。
この物語は変形=トランスフォームの皮を被りながら、感じるのは他のSF作品のエッセンス。サムとオプティマス・プライムのやりとりは「ターミネーター2」であり、サムとカマロことバンブルビーの関係は「ナイトライダー」そのもの。まして物語の起点が南極、そして巨人(この映画ではアイスマンと称していたが)となれば、「新世紀エヴァンゲリオン」である。しかもネルフならぬセクター7がこれを担う。冷却パイプに繋がれたメガトロンを見ると、まさにそれ。そのように挙げていけば枚挙暇が無い。
マイケル・ベイらしく描写の派手さに加え、車をカッコよく撮っている。オプティマスのトラックより、断然カマロ。オールドカーファンには嬉しく、にやけてしまう変貌も遂げる(その間に流れたのは布袋寅泰のご存知「新・仁義なき戦い」のテーマ)。そして変形描写を見るにつけ、アニメと現実の境界線はこの作品で無くなった事を思い知らされる。次は「ROBOTECH」シリーズとしてアメリカで放映された「超時空要塞マクロス」で行きましょうよ。本作の戦闘機の変形を観れば申し分ないです。
物語は冒頭のシーンから、米軍のプロパガンダ的な匂いが漂うものの、青春ものとしての個性が強く気にならない。時に青臭く、中盤のサムと家族のやりとりは、バカバカしさがあっても違和感は無い。確かに展開に雑さはあるが、圧倒的なCGと迫力で押し切るベイ流演出。時々挿入されるスローモーションも忘れていない。製作のスピルバーグがポップコーン映画と言うように、テーマパーク的な面白さに、ちょっとしたテーマがあれば充分。夏休み映画としては及第点といえる。燻っていたオモチャ魂に火がつきそうだ。
日本ではコンボイ司令官として有名だが、オプティマス・プライムの名のままだったのは残念。ちょっと派手なカラーリングも要らなかったかも。しかし日本語吹替版ではオプティマスの声を、あの玄田哲章さんが充てているという。オリジナルシリーズをインスパイアさせるキャスティングが嬉しい。ソフト化されたら断然、吹替版で観たいところ。そしてお子さん連れには断然吹替版をオススメしたい。
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