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2007/07/30

人の耳は馬鹿にできない

 ファースト、劇場版ガンダムのDVDが再発売される。今やHDリマスターは当然、しかもオリジナル音声が収録される事になった。多く、いや大多数のファースト世代にとって朗報。何せ再発売前の現行ソフトは物議を醸していた代物。特別版と称し、劇場版の映像に再録された新音声、5.1ch化されたBGMと効果音のみを収録。見慣れた映像、そこに生じた違和感から非難を浴びていた。ただでさえ価格の高いバンダイビジュアル。今回の出来事は一部のファンから『想定の範囲』『次世代ディスクでまた儲けるのか』と早くもツッコミが入っている。

 過去、バンダイビジュアルのDVDソフトで音声再録は少なくない。劇場版パトレイバー第一作第二作、そしてAKIRAである。三枚ともオリジナル音声を踏まえながら、新録も収録。特にAKIRAとパトレイバー2はセリフがオリジナル音声に対し、5.1chの効果音と新録BGMを重ねている。そして興味深かったのが最初の劇場版パトレイバー。セリフ収録の独立トラックが現存しておらず、新録5.1ch用にオリジナル声優を総動員し、セリフの再録を行なった。初めて聴くならまだしも、同録のオリジナル音声と比較すると、声優陣の経た年齢まで見えてしまう、いや聴こえてしまうのが怖い。

 ただこれら三つのDVDは、オリジナル音声の入っていた分救いがあった。一方、前述のガンダム特別版はマ・クベの声も、ザクマシンガンの発射音も違和感ばかり。だってそのものが違うからだ。ただオリジナルとの違いはそればかりではない。まるで時代を封じ込めたかのような音がある。誰もが5.1chを望んでいるわけではない。ナローレンジだろうが、モノラルだろうが、馴染んだ音だからこそ、スッと物語に入り込む事ができる。侮る無かれ、人の耳は馬鹿にできない。

 ルーカスのように、CGでシーンを再構築したスターウォーズでさえ、オリジナル音声を踏まえたリテイク、気配りある音作りを感じる。特にセリフは、オリジナルをトリートメントしつつも、許容範囲を踏まえている。やはり老いたオビワンはアレック・ギネスでなければならない。実は人間にとって音の違和感のほうが、映像の違和感より生理的に受けつけないのかもしれない。声のアイデンティティーはオリジナルを超える事はできないのは、良くも悪くも栗田ルパンがいい例なのだから。

070730

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