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2007/01/20

遊舟ダイナミック大賞2007各部門賞発表

年始恒例、8回目を迎えた「遊舟ダイナミック大賞」。筆者の独断と偏見で2006年を振り返ります。

まずはコラム:2006年総括、格差社会とデジタル化
 小泉政権から安倍政権へ。政治的には大きな転換期を迎えてはいるものの、小泉時代から踏み出したものは少ない。昨年の参院選、郵政民営化さえ猿芝居だった事が露呈され、あの刺客たちも、今ではぞんざいな扱いを受けている。それゆえ現政権は逆風に見舞われているが、思ったほどのダメージはない。しかもサラリーマンに対する政策は真綿に締めつけるよう、成果主義の推進を促し、税制、格差社会の三重苦に見舞われていくのだろう。我々に知らされず、影は少しずつ忍び寄ってくる。 

 そんな社会を映してきたテレビのデジタル化は進むところ、大多数の人々がアナログ停波の時期を見誤っている。2011年には駆け込み切り替えが殺到しそうな気配だが、今すぐ買い替えるに敷居は高い。何故放送を見るのにカード(B-CAST)が必要なのか、録画にも制約が多く、高画質化の恩恵は必ずしも歓迎されない。しかもハードの価格は大きく下落しているとはいえ、まだまだ高額なのも確かだ。大画面と小画面の方向性の違いは、格差社会の縮図ともいえる。

 実家のテレビはいまだアナログ。画質はソニーのフラットトリニトロン。まだ数年なのにソニータイマーの影響か、一台はチャンネルを変えるたびに画面はブラックアウト。これで映らなければ「買い換えようか」と思うところ、電源の入れ直しでとりあえず画が映るから困る。ケーブルテレビは地上デジタルに対応しているが、地方局のみ対応(郵政省の政策のため)で、首都圏キー局はアナログ波のまま。ケーブルテレビの恩恵は電波の安定性に留まろうとしている。これならCSもBSも直接受信のほうがよかろうと思う。

 まだまだメディアのデジタル化は混沌としている。HD-DVDとブルーレイの戦いは始まったばかり。プレステ3登場によって、ブルーレイ有利に思えそうだが、出荷台数が予定に足らない事、動因するはずのソフト、ゲームや映画共に物足らないラインナップに留まっている。そして何よりソニーに対する信頼性の低下は痛い。ソニーだけでなく、トヨタでさえ問題を抱える時代。その一つ一つは社会の縮図。そんな中、筆者の心を捉えたモノとは...

遊舟ダイナミック大賞、遊舟競馬賞.「ディープインパクト号」
Deepimpact 競馬の世界、一年間活躍し続ける事の難しさ。まして勝ち続ける事は容易いものではない。早くから世界を見据える競馬が、三冠馬ディープインパクトに課せられた目標だった。春の古馬GIを総ナメし、ライバルは世界とアピール。しかし万全とされた凱旋門賞挑戦は、初めて知った世界の壁、そして禁止薬物検出という後味の悪い結果となってしまった。ただ国内復帰後のディープは、そんな後味の悪さを爽快さに変える快走をみせた。勝ちタイムの平凡さよりも、鮮やかさは記憶に残る。有馬記念での次元の違う末脚は、ラストラン暮れの中山でも炸裂した。

 ディープ、彼に対しその戦績よりも評価したいのは、社会への認知度の高さだろう。オグリキャップ以来、競馬のイメージアップに貢献。実際、圧倒的な強さに興味を持った人も多い。シンザンやシンボリルドルフの堅実さに、ミスターシービーのような魅せる競馬も兼ね備えたディープ。追えば末脚は何処までも伸びていく。サンデーサイレンスの最高傑作、今「日本競馬の結晶」は新たなステージへ。有終の美、続く次なる種牡馬生活に向け、歴史は進んでいく。

 早い引退を惜しむ声は多いが、リスクある海外遠征への決断は評価したい。管理面の見逃しというケチはついたものの、ファンは世界へ近づいた瞬間を味わう事ができた。ファンを喜ばせるのも大事だが、競馬が血統のスポーツである事、次の血に繋がっていく事は重要な責務。五十一億円のシンジケート、千二百万円の種付け料、ビジネスと片付けられそうだが、競走馬が元気なまま引退するのも大事。繁殖牝馬は制限させるが、同じサンデー産駒の先輩たちが結果を残しているゆえ、チャンスは少なくないはず。今年の遊舟ダイナミック大賞は最後の馬券を獲らせてもらった上、これからの応援を込めて、ディープインパクト号に送りたい。

 ダイナミック大賞次点筆頭はちょいテレ。昨年始まったワンセグ放送だったが、パソコンでの利用はチューナー搭載PCや同ケータイだけと条件が限られていた。しかし秋に入って一般のパソコンユーザーのために本機が登場。一時入手不可能になる程の人気となった。ある程度の受信状況にあれば、キレイな放送を手に入れる事ができる。ただ筆者のような地方部では、「ある程度の受信状況」が曲者。しかしマンションなどの高層部での受信はすこぶるよろしい。受信エリアの拡充は待たれるが、外でワンセグは便利。なおちょいテレはデータ放送に未対応。またできれば今後、外で地デジできるチューナーユニットが欲しい。

 同じく次点はニンテンドーDSLite。しばらく静観していたが、ジェットブラック発売時、久しぶりに行列に並んで買った。脳トレ人気に食指を動かされ、「大人のためのDSトレーニング」と共に数ヶ月楽しんだ。長期出張を機会にその後は頓挫したが、シンプルを楽しむ点では、このDSに敵うものはないと思う。スペック重視のSCEとは全く別のベクトルの商品。続く次世代ゲーム機Wii購入層の基礎を作った。任天堂のマーケティング、底力を感じる。2006年内発売とされたワンセグ受信ユニットが待たれる。

 最後に推したいのが、ソニー密閉型インナーイヤーレシーバーMDR-EX90SL。時代はノイズキャンセルに進みつつあるが、こちらは純然たる定価一万円を超える高価なヘッドホンである。しかし単なるドンシャリに収まらない、出荷時一個ずつ仕上げたという音作りは必聴。唯一の弱点はカナル型のような、音漏れ対策が織り込まれていない点。しかし電車内等を除くアウトドアでは、高音質を提供してくれる。所詮聴くのはMP3だけどね。

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遊舟映画賞「クラッシュ」
Crash_1 2006年劇場で観た作品は三十一本(プラス一本)。観た時の印象が良くても、味わいの変わってくる作品も少なくない。例えば「ダ・ヴィンチ・コード」は本で楽しんだ直後に観たせいか、頭の中で映画の足らない部分を補完してしまったのだ。当時は面白く思えたのだが、今思うと随分とぞんざいな作りの映画だったと思う。エンターテイメントであっても、けっして心に残るような作品ではない。

 驚きのオスカー受賞となったが、やはり「クラッシュ」は優れた作品だ。同時期「ブロークバック・マウンテン」と比較されたが、けっしてその質は劣らない。今や時代の寵児となったポール・ハギスの仕掛けた毒、そして感動。アメリカの抱えた社会問題を時に冷たく、時に温かく見守った秀作。

 「ホテル・ルワンダ」は米公開からだいぶ遅れての日本上陸だったが、その衝撃ぶりに何も言葉は出なかった。そして何もできない自分に涙が流れた。ただその事実を知る事が大事。もちろん映画ゆえに事実との差は少なくないだろうが、そんな事など考えさせない力強さを秘めた作品。

 事実といえば「ユナイテッド93」を忘れてはならない。時期尚早といわれた9.11をテーマにした作品中、真っ先に公開された。映画的要素、劇的部分は全て廃し、スター俳優もおらず、実際現場に居た者までカメラの前に立った。リアル過ぎるものの、実際の恐怖を強く訴える。

 また「硫黄島からの手紙」も史実路線の一本。「父親たちの星条旗」との連作であったが、日本人である我々にはこちらのほうが重い。単なるタラレバや反戦でなく、また戦場における美学までも排除した。ただそこにある出来事を通して、国と国、すなわち人と人のの死闘を描いている。

 「ミュンヘン」もスピルバーグによる史実もの。スピルバーグらしいトリッキーなエピソードもあるが、「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」と異なり、全体的には彼独特のヒューマニズムが排除され、冷酷な殺し合いを積み重ねた作品となった。そして終わり無き戦いは今も続いている。

 「007/カジノロワイヤル」は久々のボンドシリーズ。「ミュンヘン」でも好演したダニエル・クレイグによるボンドが新しい。しかも原作タイトル、内容、アクション共々、原点回帰した力作。冒頭から走る、走る、釘づけとなるアクションが凄まじい。もちろん007らしい大味感も秘めている。ボンドの冷酷さを形成した大事なエピソード1。

 「スーパーマン・リターンズ」も英雄帰還な一作。オリジナルへのオマージュはオープニングロールに集約。それだけでなく、VFXとの融合も素晴らしい。シャトル救出の場面では手に汗握り、しかもその最後思わず嬉しくなるような演出が待っている。あまりのハマりっぷりに新星ブランドン・ラウスの行く末が気になる。

 邦画では「フラガール」。松雪泰子のなりっぷりとダンスの美しさ、大団円となるセンターのオープンでは圧巻のフラが待っている。また「ウォーターボーイズ」系と侮るなかれ。むしろこの作品は「プリティ・リーグ」であり、主人公たちの持つ背景が描かれてこその作品なのだから。蒼井優も松雪とガップリ四つの演技と踊りを魅せる。

 「武士の一分」は時期的にすべり込みとしよう。藤沢文学の両輪、寡黙で真摯な武士道、純粋な愛情を描いている。キムタクをミスキャストと断ずるのは安易。巨匠山田洋次とのコラボレーションは、今後の彼にとってプラスとなろう。けっして本作のキムタクは悪くなかった。強いて難点を挙げれば、物語の広がりが小品程度だった事か。

 「嫌われ松子の一生」は不幸と原作にないミュージカルの融合。箱庭的なCGもレベルが高く、まるで不幸な「フォレスト・ガンプ」のような作品に仕上がった。一度だけでなく、二度三度と観ていくと、妙に惹かれてしまう物語とストーリーテリングにハマる。海外出張時、再見した際にやっぱり面白かった。

 ワースト1はやはり圧勝で「Vフォー・ヴェンデッタ」に尽きる。哲学的とくれば、ウォシャウスキー兄弟(今では姉弟?かも)による製作。もう彼らの薀蓄(うんちく)はいいだろう。ビジュアル重視、しかも波のない物語に、睡魔よりも怒りを覚えるばかり。坊主になったナタリー・ポートマンの意義とは?無表情なV(あるいは誰が演じても同じV)、彼らの革命には付き合いたくない。早朝から観たオレの時間を返せ!とにかくつまらない一品。

2006年の個人的映画ベストテン
1:「クラッシュ」
2:「ホテル・ルワンダ」
3:3:「ユナイテッド93」
4:「硫黄島からの手紙」
5:「ミュンヘン」
6:「007/カジノロワイヤル」
7:「スーパーマン・リターンズ」
8:「フラガール」
9:「武士の一分」
10:「嫌われ松子の一生」
ワースト1:「Vフォー・ヴェンデッタ」

遊舟テレビ賞「結婚できない男」
Dysp0704 年末の特別番組編成の中、「結婚できない男」の再放送が放送されていた。既に春先の本放送、その時巷の評判は聞いていたが、連日観られる機会に一気に観る事ができた。そしてこれがやっぱり面白かった。独りヤモメの設計士桑野サン(阿部寛)を中心に、その『結婚できない理由』を描いていく。もちろんそれだけでなく、不器用ながら変わっていこうとする主人公の姿が、何とも微笑ましいコメディーだ。

 このドラマの見どころは何といっても、阿部寛のとても濃ーいー演技。独り者特有のこだわりを面白、そして真面目に演じている。時に『オレも解るよ』的なシーンも多く、感情移入してしまう。困った時はやたらネットで検索して解決したり、事件となった客船模型のスクリューの一件は、その一つといえる。ただこのドラマの桑野氏ほど、ボク本人は変人ではないけども。

 この作品が言いたいのは『結婚できない理由』=『変わり者』というわけでなく、結局は相手に心を開くか否かというシンプルなもの。意固地な独り者にとって、最終回で桑野サンのセリフ、「どうしてもっていうなら...」がなかなか言えないもの。人にとってモノへの執着より、最後は人との関わりが重要なのだ。そしてこの作品は大人向け「電車男」の雰囲気も漂う。この作品の中で描かれる機微にはニヤリとさせられる。

 また配役もいい。意中?の人となる女医の夏川結衣やお隣さん国仲涼子とのやり取り、犬のケンちゃん、さらに設計事務所のスタッフ、塚本高史と高島礼子、そしてその高島礼子実生活の旦那様、高知東生演じる建築家金田は箸休め的なキャラクターが可笑しかった。彼のHP上『ちょっと、いい友達ができました』での笑顔もいい(彼はトヨタ2000GTに乗ってるんだよね)。連チャンでこのドラマを楽しんだ分、細かな点に行き届いた作りを楽しむ事ができた。そんなわけでドラマ賞はこの作品にしたい。

講評と展望.
 今年、DVD賞、音楽賞、ゲーム賞を挙げる事ができなかった。その理由として、様々なコンテンツがHD化されつつある今、過渡期ゆえに注目できるものに出会えなかったのが本音だ。その全てに絡む形で登場したのがプレイステーション3。ソニーの浮沈に影響しうるコンテンツ母艦の登場。ライバル、ニンテンドーWiiとの違いが取り沙汰されるが、アプローチの違うゲーム機を同じ土俵に上げるのは論外。ただグリッドコンピューティング等、発売前に大風呂敷を広げていたPS3が、今やブルーレイ再生機としてAVマニアに売れているのは、少々皮肉なのかもしれない。

 相変わらずDSLite、Wiiとヒットを連発、任天堂の足許は磐石。ゲームはハイスペックよりもソフトの中身が命と消費者に訴えかける。もちろんプラスアルファ的な機能、DSならネットブラウザ、Wiiでの写真管理と忘れていない。明石家さんまと松岡修造のCMからも、そうしたWii本体の持つ面白さをアピールしていた。これからはWiiリモコンの優位性を生かしたソフト作り、DS並みのベストセラー登場が待たれる。まだサイは投げられたばかりだ。

 HD化の一方、いまだブラウン管で見る地上波アナログ放送。それが世間の実情だろう。たとえCMで草なぎクンが『ご理解下さい』と訴えようが、ウチの両親のように納得がいかない人も少なくない。HDだろうが、SDだろうが、観ているドラマの本質は変わらない。たとえ皺の数が数えられたとしてもね。これは前述にもある、世間のPS3に対する評価に同じ。そうでなければDSもWiiもここまでの評価は受けないだろう。しかし時代はHDへの道を進んでいる。

 半ば強引に国が施策を進めるより、ユーザーを動因するコンテンツ作りのほうが近道。たった一頭の競走馬の登場により、熱狂的なファンは凱旋門賞を観にフランスへ集い、NHKは地上波放送で生中継を実施。そして世間の人々はディープインパクトの名を覚え、ラストランに熱狂した。この流れはコンテンツ作りの成功例といえる。そして来年、同じ流れの北京オリンピックが開催、相当の盛り上がりをみせるだろう。心底感動を味わうため、五輪に向けてのハード、ソフト両方の準備が2007年の課題となるに違いない。(2007/01/20)

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