「ダ・ヴィンチ・コード」をヴィジュアル愛蔵版で読む
ここのところダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」を読んでいた。ご存知大ベストセラー、六〇〇ページに及ぶ前後編の大作。文庫が出たばかりだったが、先行発売されたヴィジュアル愛蔵版を選んだ。ルーヴル美術館で起こった殺人事件、巻き込まれた宗教学者、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画に込められた謎。そしてイエス・キリスト。その展開もスリリングだが、歴史の出来事、さらに数々の文献をピースとしてパズルを構成、一つの物語に仕上げている。
来月には映画版が公開を待つ中、描かれるキリストの在り方が物議を醸している。スコセッシの「最後の誘惑」(この本の中にも登場)、メル・ギブソンの「パッション」同様にある意味センセーショナルかもしれない。また宗教的に接点のない遠き東の島国だからこそ、興味を惹くのは言うまでもない。特に前述の作品に比べ、今回の作品はトム・ハンクスを主演に据えた娯楽作として公開される。日本人の観客がどのような反応を示すだろうか。既に本作登場以後、ムック本も多く出ており、更なるブームが見込まれている。
さてヴィジュアル愛蔵版の強みは、登場する数々の絵画、写真、キーワード等が具体的に収録されているところにある。本というと作者と読者が共有するイメージの世界が重要。それが読書の楽しみでもあるからだ。しかし有名な絵画を除けば、想像力で補えない点も少なくない。ルーヴルのピラミッドはいかにもヴィジュアル愛蔵版らしい登場の仕方。クライマックスのキーポイントだけに、その美しいビジュアルはより説得力を強くする。またこれに限らず、キリストの謎に迫る過程もビジュアル愛蔵版ならではといえよう。今から読むなら断然、このビジュアル愛蔵版をオススメしたい。
読んでいると謎解きはいうまでもなく、とにかくこの本の持つ知識とその物量は凄まじかった。そしてトマス・ハリスのレクター三部作を読んで以来、久々にこれでもかの薀蓄(ウンチク)に圧倒された。それがとにかく楽しいのだ。黄金比のネタなんて、会話のつかみにもってこいのように思う。これに限らず、ネタの宝庫が「ダ・ヴィンチ・コード」なのだ。読んでから観るか?観てから読むか?まるで昔の角川文庫のキャッチフレーズみたい。いやこの本って角川書店だったんですね。もちろん映画版も楽しみにしていますよ。
| 固定リンク


コメント