「ホテル・ルワンダ」を観る(ネタバレあり)
今日は愛車オペルアストラを駆り、盟友N氏と静岡へ遠征。公言通り、静岡シネギャラリーで「ホテル・ルワンダ」を観てきた。行きは国一バイパスを西下。N氏ご愛聴のピーター・バラカン氏のラジオ番組を聴きながらドライブ(「ホテル・ルワンダ」はバラカン氏の推薦もあった事を付け加えておく)。約20分の渋滞を挟み、一時間半を要した珍道中となってしまったが、相変わらず脈絡の無い会話が妙に可笑しかった。確かにそこまでも現実、楽しかったのは事実。しかしこれからスクリーンで繰り返される出来事に、N氏共々打ちのめされたのだった。
この作品を観ている途中、何度か泣けてきた。確かにドン・チードルらの熱演も素晴らしかった。でも泣かされて泣くのではなく、自然と流れた涙だった。これまで心を動かされた作品は数多くあるが、この作品に対してはちょっと違った。それは彼らに対する哀れみではなく、現実を知る、自らの無知への悲しみかもしれない。ただその具体的な理由は言葉にできない。
まず驚かれたのは、フツ族とツチ族の間に起こされた偏見の理由である。鼻の幅、皮膚の薄さ等など、それは統治した諸外国が理由無く引いた線である(18世紀頃から何らか部族間のアイデンティティーはあったのだが、統治したベルギーがこれを利用)。それを発端にフツ族とツチ族は更に憎悪を深めていく。また憎しみの影にIDカードを持たせたり、一方的な思想教育がある(これだけが全てではないが)。その最悪の結果がこの作品の中で描かれていく。ただフツ族とツチ族が憎しむだけの存在でない事は、主人公のポールたち夫婦がフツ族とツチ族同士という事が裏付けている。
本作は先日同じ静岡シネギャラリーで観た「クラッシュ」同様、偏見を扱った作品である。だが「クラッシュ」はたった一発の銃声の下に描かれる寓話だったが、本作は夥しい数の銃弾が描く現実である。もちろん映画という作り物の世界であるものの、その境界線は観始めて間もなく無くなっている事に気づく。それが先の現実を知る瞬間にほかならない。夥しい数の銃弾は山のような死体を生む。主人公ポールが乗るライトバンの踏んだ異物が何であるかに気づくのも、観ているボクらには時間の問題だった。そしてやっとホテルを離れるポールたちのトラックの横を、さらに夥しい数の難民が通り過ぎる。ポールたちは彼ら民族の中でも中流層以上だったのだ。民族の底辺は大虐殺の犠牲となっていく。
この作品には救いがない。唯一あるとすれば、ポールたち家族が犠牲を伴いながら、逃げ果てた点だけだろう。しかしラストのテロップ、ポールたちの姿が母国にいない事を知る。生き延びた安堵感の反面、国に帰れない事実はもっと悲しい気持にさせられた。なす術の無い現実の中、この作品が作られ、そして訴えようとするものは、とにかく観て感じてもらうしかない。
諸外国へ救いの手を求め、応えた僅かな機会がある反面、利権の伴わない出来事には見向きをしない現実も訴えてくる。ある大国が独裁者を追いやったと旗をふり、そして民主主義を広める名目には、石油という利権があった事を忘れてはならない。ルワンダでは先の偏見が生んだ大虐殺で100万の人々が殺されていった。世界の警察も見返りがなければ、けっして腰を上げることは無い。
本作を観終わって、じっと黙って席を立ったN氏とボク。そしてもう一度、フロアーを上がり、作品の背景が説明されたボードを読んだ。とにかく偏見を助長したのは彼らではない。そこにこの日本にまつわる偏見の原点(受ける、こちらが与えたものに限らず)に似たものを感じる。だからといって何もできないが、知ることが大事といつも思う。「ホテル・ルワンダ」はその一つとして是非観てもらいたい作品だ。

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» 『ホテル・ルワンダ』 [ラムの大通り]
「憎しみからは何も生まれない」
----これってインターネットの署名運動によって
日本公開が実現した映画だよね。
「そう。昨年度のアカデミー賞で
ドン・チードルの主演男優賞ほか
全3部門でノミネートされた話題作だ」
----そんな映画なのに
なぜオクラ入りしそうになったの?
「まず一つは
遠いアフリカ大陸での
フツ族によるツチ族への虐殺と言う
きわめてヘビーな内容だったこと、
さらには主演がビッグネームではないこと、
そ�... [続きを読む]
受信: 2006/04/22 22:18
» 「ホテル・ルワンダ」 [the borderland]
朝10時からの上映に間に合うように40分ほど前に行ったのに既に満席!立ち見はあったけど、これは腰をすえて観たい作品だったので、12時20分のチケット購入。すぐ観るつもりだから本もなく、3時間待ちは辛かったです。(近くに何もないとこなんで)
しかも次の上映も立ち見の人が左右の通路に溢れて、それこそ難民キャンプのようでした(^^;
この題材を選べば、刺激的な映像はいくらでも入れることができるだろうに、あえて虐殺シーンを中心にすることなく、主人公目線で物語を追っていく。まるで自分もホテルの中に閉じ... [続きを読む]
受信: 2006/04/22 22:34
» 映画「ホテル・ルワンダ」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:Hotel Rwanda
1994年、アフリカはルワンダで民族の対立による大量虐殺の嵐が吹き荒れるなか、逃げまどう人々をホテルミル・コリンにかくまう支配人の物語。
時代は、フツ族とツチ族の内戦がようやく終結をみるが、当時のフツ族大統領が暗殺された... [続きを読む]
受信: 2006/04/23 01:46
» ホテル・ルワンダ [シャーロットの涙]
「よかった」とか、「感動した」とかそんなことじゃない何か…。言葉が見つからない。やるせなさと哀しさと恐さ・・・またそれ以上になんて言ったらいいのか。
涙腺弱いのを自分で認めているので、前評判からしてどんなに泣くのかとちょっと恐かった。しかし・・・泣くなんていうことより、凍りついた。全身で震えた。涙を流すことより、まず心が痛くて息をするのが苦しかった…
1994年ア�... [続きを読む]
受信: 2006/04/23 01:48
» ホテル・ルワンダ /HOTEL RWANDA [我想一個人映画美的女人blog]
必見です。。。。{/ee_3/}
今から約10年前の1994年4月〜7月にかけて、“千の丘の国”と呼ばれるアフリカの内陸国、ルワンダ共和国で、80万人もの罪のないツチ族がフツ族たちによって虐殺された。
1994年4月6日、ルワンダ キガリ空港上空で大統領の飛行機が撃ち落された。
当時のルワンダ共和国大統領であるハビヤリマナ大統領の暗殺事件発生をきっかけに、大量虐殺は起こる、、、。
実話の映画化。
20... [続きを読む]
受信: 2006/04/23 02:32
» ★「ホテル・ルワンダ」 [ひらりん的映画ブログ]
当初、日本では公開予定がなかったのに・・・
署名運動で公開にこぎつけた・・・って話の映画だよね。
主演もドン・チードルだし・・・
実話らしいし・・・
チネチッタのポイント貯まってるし・・・
観てみる事に。 [続きを読む]
受信: 2006/04/23 03:13
» ホテル・ルワンダ(映画館) [ひるめし。]
「愛する家族を守りたい。」
ただ一つの強い思いが、1200人の命を救った・・・。
CAST:ドン・チードル/ソフィー・オコネドー/ニック・ノルティ/ホアキン・フェニックス 他
■カナダ/イギリス/イタリア/南アフリカ産 122分
これ実話!1200人の命を救った1人のホテルマンのお話。
なんで人は争いごとをするんでしょう。ワタシは争いごとは大嫌い。みんな仲良くがモットー。
観賞し... [続きを読む]
受信: 2006/04/23 13:15
» 『ホテル・ルワンダ』 [京の昼寝〜♪]
「愛する家族を守りたい。」ただひとつの強い思いが、1200人の命を救った・・・。
■監督 テリー・ジョージ■脚本 ケア・ピアソン・テリージョージ■キャスト ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス、ジャン・レノ□オフィシャルサイト 『ホテル・ルワンダ』 フツ族とツチ族の間で続いていた内戦が終息、和平協定が結ばれよう... [続きを読む]
受信: 2006/04/23 17:40
» ホテル・ルワンダ [俺の話を聴け〜!]
善人になりたいと思った。どちら側から見て善人とか悪人とか、そんな視点の切り替えで変わってしまうような、逆に言えば立場がその人間の善悪の判断をつかさどるような、そういうものじゃなく、自分以外の存在のために圧倒的なエネルギーを持って尽くす、そんな善人になりた....... [続きを読む]
受信: 2006/04/23 20:58
» ホテル・ルワンダ [空想俳人日記]
我が妻と 我が子の命 救いたまえ
ホテル・ルワンダ、実際のホテル名ではない。しかし、このタイトルがルワンダという国とともに、もっとも秀でたホテル・マネージャーを思い出させるだろう。おそらくそれは、世界中のマネージメントクラスの人々の最高の鏡と言えるので... [続きを読む]
受信: 2006/04/24 06:18
» ホテル・ルワンダ [It's a Wonderful Life]
映画が感覚的に「事実を伝える」重要なものの一つだと
いう事を再認識させられました。
昨年アカデミー賞の録画を観た時に、候補作紹介の映像で
最も力強く引き込まれた作品がこの映画でした。
日本公開の署名運動を知ったのは公開が決まってからで、参加出来ま...... [続きを読む]
受信: 2006/04/24 12:31
» ホテル・ルワンダ [カリスマ映画論]
【映画的カリスマ指数】★★★★★
とにかく観てください。
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受信: 2006/04/25 20:37
» ホテル・ルワンダ(04・南アフリカ・英・伊) [no movie no life]
ミニ歴史講座、ドリンク、資料つき、プレミアムナイトで1000円。素晴らしい企画だと思いませんか?
日本での上映がなかなか実現されず、署名が集められてやっと上映にこぎつけたと言う本作。とうとう山形でも3月25日から本格上映。
昨日は、その前日と言うことでプレ... [続きを読む]
受信: 2006/04/28 21:47
» 「ホテル・ルワンダ」を見た皆さんへ [no movie no life]
本日の昼、アフリカのスーダンにおいて反政府勢力の最大グループが政府軍と停戦合意に至ったとニュース報道がありました。
★詳細はこちら
?
覚えていますか?
映画「ホテル・ルワンダ」のポール・ルセサバギナと主役を演じたドン・チードル。
彼らが今年3月に... [続きを読む]
受信: 2006/05/07 11:03
» 『ホテル・ルワンダ』今年は洋画の豊作の年か [再出発日記]
監督:テリー・ジョージ 出演:ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックスフツ族とツチ族の間で続いていた内戦が終息、和平協定が結ばれようとしていた1994年、ルワンダの首都キガリ。外資系高級ホテル、ミル・コリンの支配人ポー...... [続きを読む]
受信: 2006/05/08 09:55
» ホテル・ルワンダ (DVD) [映画と本と音楽にあふれた英語塾]
ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション
原題: Hotel Rwanda (2004)
2006年1月14日 日本初公開
公式サイト: http://www.hotelrwanda.jp/
早稲田松竹
2006年8月25日(金)3時5分の回
ゴウ先生総合ランキング: A
画質(スコープ): A-
音質(ドルビー・ステレオ?): A-
英語学習教材度: A-... [続きを読む]
受信: 2006/08/27 11:01
コメント
こんにちは、コメントありがとうございます。
とにかく素晴らしい作品ですね。
歴史的な背景や政治的な話を置いておいても
作品の希求力はまったく減じないと思います。
正規の公開ルートから外れたことは残念なことでしたが
出来る限り多くの人に鑑賞して欲しいですね。
投稿: Yin Yan | 2006/04/27 14:01
Yin Yanさんこんにちは。
コメントありがとうございました。
>歴史的な背景や政治的な話を置いておいても
>作品の希求力はまったく減じないと思います。
そう思える程に一つ一つの出来事が重いです。家族、人々とのつながりを含め、その関わりが大事。これは国、その背景を問わずとも変わる事がありませんよね。みんなに観てほしい気持、ボクも一緒ですよ。
投稿: でんでん | 2006/04/30 20:52
コメント&TBありがとうございました。
<ホテル・ダルフール>と題した映画を見るわけにはいかないと・・・切に願います。
投稿: カオリ | 2006/05/10 01:11
カオリさんこんにちは。
コメントありがとうございます。
>ホテル・ダルフール...
同じ気持です。事態が収拾する事をただ祈るばかりです。
投稿: でんでん | 2006/05/10 23:43