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2006/04/18

原田眞人監督 沼津映画WEEK「狗神INUGAMI」を観る(ネタバレあり)

 シネマサンシャインは家から歩いてわずか数分。そんな気軽さから会社帰り、日曜に引き続いて原田眞人監督 沼津映画WEEK「狗神INUGAMI」を観てきた。「狗神」は公開当時、「弟切草」と同時上映になった角川映画(昔の角川春樹主導の頃とは違う)。「狗神」の後に「INUGAMI」と付くところがこの作品のミソ。すなわち海外コンペ向け、英語字幕版なのである。稀に邦画DVDは英語字幕が呼び出せるもの(例えば「太陽を盗んだ男」)があるが、劇場で観るケースはさらに珍しい。

 物語は四国、高知の山中、狗神(いぬがみ)と呼ばれる家系にある坊之宮家。和紙作りに勤しむ中年女性の美希はその一人であった。真夜中、母の声に目を覚ます美希。家族も皆、眠れぬ日々が続いていた。そんな中、彼女は村にやって来た奴田という教師と出会う。森を進む最中、二人は突然の雨に遭遇。雨宿り、だがその状況を彼女は過去に見た事があった。それは彼女の運命に大きく関わった出来事であった...

 この作品はずばりホラー。コケオドシ系は程ほどに、それでいて官能的であり、心理的な怖さも秘める。設定では中年、41才という天海祐希演じる美希。冒頭、ノーメイクで白髪混じり、枯れた感じが伝わってくる。ただ41才というには若すぎるかなと思ったが、やがて狗神であるゆえん、年齢を遡り美しく変わっていく姿を考えれば、過剰な演出はできなかったのだろう。特に奴田と結ばれる姿は官能的な描写で、いろいろな意味で刺激を受ける。濡れ場は何処まで天海本人か判らないが、かなり過激。R-15は当然かもしれない。原田監督の描く濡れ場は「KAMIKAZE TAXI」といい、本作といい、本当に刺激的である。

 人間関係や物語自体は結構読めてしまうところはある。ただそれよりも、物語を語る堅実な演出に惹かれた。とにかく最後までグイグイ見せてしまう。これは今回観た三作共に共通する点でもあり、特に本作は出演者の演技がハイレベル。それだけでテンションは高くなり怖くなる。村路和弘演じる隆直の得体の知れない怖さ、今やクセが強すぎる感の渡部篤郎も、本作では抑えた感じが印象よく受け取れた。また音楽のエフェクト、サラウンドの使い方もホラーらしく、重低音や動きを使った演出が目立つ。この作品は一見、地味に感じるが、ある意味徹底したエンターテイメントだと思う。

 ただ惜しまれるのはセリフ、方言の意味がやや伝わり難い事。一見するだけでは、この作品の流れをつかむのが難しい可能性はある。ただ今回は幸い、前述の英語字幕が言葉の意味を知る上で機能してくれた。またラストは明確なものを提供せず、はっきりした結末を求めた場合に物足りなさを感じるかもしれない。でもそれは監督の真意ではないだろうし、ボクとしてもその方が作品の怖さを楽しむ事が出来ると思う。それが和製ホラーの肝ではないだろうか。

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