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2006/03/25

TOHOシネマズ小田原で「ブロークバック・マウンテン」を観る(ネタバレあり)

 今日は東へ遠征、久々のTOHOシネマズ小田原で「ブロークバック・マウンテン」を観てきた。昼よりただ一回だけの上映。田舎の劇場、テーマの難しさから、興行的に何度も掛けられる作品ではないためなのだろう。実際、観客は六分の入り。ただプレミアムシートでの鑑賞だったのは幸いだった。広く大きめ、そしてリクライニングできるシートはとにかく楽ちん。傍らにはアイスコーヒーを、そんな環境下で今回の鑑賞に望んだ。

 冒頭から夥しい数の羊の群れ、ブロークバック・マウンテンを背景に、とにかく自然が美しい。突き抜けた空の青さ、突然の雪、そして川のせせらぎに山の頂き。豆料理は辟易すると主人公たちは言うものの、カウボーイにはお約束の食事と続いていく。そんな折、ジェイク・ギレンホール演じるジャックのただならぬ視線。その後、突然の寒さと相まって、ヒース・レジャー演じるイニスと結ばれる。ここでの描写は短くとも、かなり衝撃的だった。異性同士ではなく、まして男性同士の行為。その二人の発する声に興奮とは別のものを感じた。やはり壁は越えられず。この作品のテーマを否定しなくとも、それは個人的な見解、偏見と言われても仕方ないです。

 その情熱的な抱擁と対極的に、彼ら二人の結婚した妻たちとの行為は非常にアメリカ的。あっけらかんとしている。あの「プリティ・プリンセス」アン・ハザウェイが胸をはだけ、とても積極的になってビックリ。ただ彼女が晩年を演じるところでの何ともいえない気だるさは、もう充分に大人の演技だった。彼女に限らず、少ないキャストそれぞれが、個性的にこの作品を彩っている。イニスの妻役だったミシェル・ウィリアムズも、感情の高ぶりを絶妙に演じていた。アン・リーは彼らの生活感、そしてその変化を上手く捉え、イニスとジャックの惹かれあう源流と苦悩に結びつけている。この点だけでも、アカデミー監督賞受賞は頷けると思います。

 観るだいぶ前、ヒース・レジャーという俳優にピンと来なかった。昔、彼の主演した「ロック・ユー」という映画のタイトルしか浮かんでこない。しかし本作を観て、キャスティングの妙を感じずにはいられなかった。とにかく彼の存在感が光る。トーンが低く、けっして口を大きく開かず話す姿は相棒ジャックと全く対照的。これも監督の狙った演出なのだろう。エンディング、イニスは思い出の品を前に本当の気持を吐露する。結局、直接に本当の気持を伝える事ができなかったゆえの後悔と安堵。それが目に溜めた涙が表していた。「カポーティ」フィリップ・シーモア・ホフマンに賞は譲ったが、ノミネート級以上の存在感に溢れていた。また助演のジェイク・ギレンホールもあの秀作「遠い空の向こうに」から、だいぶ年を経たのですね。とにかく二人とも難しい役だったと思います。

 本作を観て、印象的なセリフが一つ。ジャックの言った「どうせ会えないのなら、別れると言ってくれたほうが楽になれるのに」(だったかな。うる覚えです)。これは男女の恋愛にも通じる言葉だと思う。会いたいのに会えない、そんな恋愛上の苦しさが伝わってくる。そう思うって事は苦しさの極限状態なんですよね。実はかつて付き合っていた彼女に対し、似た思いをした事がありました。でも本当に別れてしまうと、もっとメチャクチャつらいものですけど(苦笑)。

brokebackmoutain

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コメント

『映画と秋葉原とネット小遣いと日記』のhideです。
でんでんさんTB有難うございました。観て参りました禁断の映画を(笑い)
●実際に映画を観て、ココまで繊細に美しく、20年間に渡る男性同性愛の純愛物語になってるとは思いませんでした。だからこそ、物悲しく良い映画でした。

●女性の方の感想を見てて面白かったのが、モウ二人の世界を堪能した方と、イニスの妻に感情移入して、やはり綺麗に描かれすぎてる同性愛映画と受け入れ難い反応でした。
もう、このような映画はどっちも正解なのでしょうけどね

投稿: hide | 2006/03/26 13:05

hideさんこんにちは。
コメントありがとうございます。

>もう、このような映画はどっちも正解なのでしょうけどね

正解なんですが、でもやっぱ受け入れるにはかなり勇気が要るというか。結局、そこがこの映画の取捨に行き着きますね。んんーっ、いろんな意味で参った(^^ゞ

投稿: でんでん | 2006/03/26 21:28

でんでんさん、今晩は☆
TB有難うございます。^^
絶賛される方が多い中、作品にノレなかった自分が寂しかったです(笑)
主人公二人の置かれた立場や状況は切ないものでしたが、妻たちはもっと辛くて切ないなぁ~と。
「別れた方が楽になれる」というようなセリフにはドキっとしました。
思っていてもイザ別れると辛いですよね~…(遠い目)

投稿: ルーピーQ | 2006/03/27 01:13

こんにちは♪
TBありがとうございました。
見て数日たった今のほうがより一層この映画を分かってきたような気がします。
賛否両論の意見をお聞きしているせいもあるのかな?
妻の立場に立ってみると、いかに彼らがピュアな恋愛をしていようと「おいおい!」ということになりますし、その視点によって感想も変わりますよね。
私は「こんな恋愛もあるんだね~」と妙に引いた目で見ましたが、シャツのエピの所はジーンときてしまいました。

投稿: ミチ | 2006/03/27 12:11

ルーピーQさん、ミチさんこんにちは。
コメントありがとうございます。

ルーピーQさんへ
>絶賛される方が多い中、作品にノレなかった自分が寂しかったです(笑)

同じくです。ただ作品としての良さは伝わってきました。映像も美しかったし。それとあのセリフに考えされられました(苦笑)(^^ゞ

ミチさんへ
>その視点によって感想も変わりますよね。

観る人の考え、立場、いろんなもので変わりそうなテーマですからね。ボク的には賛否の真ん中にこの作品があります。とにかく返答の難しい作品です(^^ゞ

投稿: でんでん | 2006/03/27 21:52

こんばんは、TB多謝です♪
私的には、誰にも感情移入しないまま終わっちゃったなあ・・・
って感じです。なんか、サクサク進みすぎたかな?と思います。
20年の長さとか重さもあまり感じられなかったし、
牧場主とかイニスの奥さんにもすぐバレるし、
離婚までも早いし・・・。
(時間的な速さではなく、映画の進行的に・・・)
>会いたいのに会えない、そんな恋愛上の苦しさが・・・
ああ、こういう恋愛しなかったからかしら・・・(苦笑)

投稿: RIN | 2006/04/02 22:36

こんばんは。
ひょっとしたらトラバ返しできてないかも。
映画としての評価と個人の好みがこんなに
違った作品は私がレビュー書き出してから
初めてです。生理的に合わないのはどうしようもないっす。

投稿: カヌ | 2006/04/03 00:07

RINさん、カヌさんこんにちは。
コメントありがとうございました。

RINさんへ
>私的には、誰にも感情移入しないまま終わっちゃったなあ・・・って感じです。

ボクは辛うじてイニスの奥さんが拠り所になったけど。確かにキャラに感情移入できないとツライですよね(^^ゞ

カヌさんへ
>映画としての評価と個人の好みがこんなに違った作品は私がレビュー書き出してから初めてです。

自分の中で過去にブラピの「ファイトクラブ」がダメでした。でもDVDで再見した時、何となく好きになってみたり。ただこの作品はちょっと違うと思いますけどねぇ(^^ゞ

投稿: でんでん | 2006/04/03 21:42

こんばんわ!でんでんさん!
TB&コメントありがとうございました!

この作品、私の今年のベストです。最高の傑作でした。
でんでんさんが記事に入れ込んだ台詞・・・そう、私もこんな想いしたことあるなあ・・って観ながらにジャックに同調しましたよ。あまりにも苦しくて、あまりにも好きすぎて・・半ば投げやりに、でもすがるような気持ちで言う言葉です。
・・・もう一度観に行きます。

投稿: 睦月 | 2006/04/04 23:56

睦月さんこんにちは。
コメントありがとうございました。

>あまりにも苦しくて、あまりにも好きすぎて・・半ば投げやりに、でもすがるような気持ちで言う言葉です。

相手あっての恋愛の苦しみ。一つのセリフで思い出されました。でもいい思い出ですけどね(苦笑)(^^ゞ

投稿: でんでん | 2006/04/06 22:47

TBありがとうございました!
またまたこちらからもTBさせていただいたのですが、反映されません~。

以前は出来たのにね...
いつもTBしていただくだけで申し訳ないです。

私も感じた「2人が禁断の愛に足を踏み入れていく過程が唐突」という印象。
ゲイの方の感想を読んで、ちょっと謎が解けたような気がしました。

投稿: Gachami | 2006/04/08 13:12

Gachamiさんこんにちは。
コメントありがとうございます。

>私も感じた「2人が禁断の愛に足を踏み入れていく過程が唐突」という印象。

愛の形はいろいろあるのですね。その立場からあり得る展開だったのかもしれませんね(^^ゞ

投稿: でんでん | 2006/04/08 17:48

こちらも遅ればせながらTBさせていただきました!
アカデミー賞作品賞を受賞できなかったのは、この映画が扱っている問題について、まだまだ受け入れられない頭の固い審査員がいたからという話もありますが...
どうなんでしょうね。

数年後には、「そんな時代もあったんだよ。信じられないね」と笑い話になっていればいいな、と思いました。

投稿: Gachami | 2006/04/15 01:48

Gachamiさんこんにちは。
コメントありがとうございました。

>数年後には、「そんな時代もあったんだよ。信じられないね」と笑い話になっていればいいな、と思いました。

時代は変化しますからね。昨日まで出来なかった事ができたり、急に自由を失ったり。Gachamiさんの言ったような時代、いつかは来るでしょうね(^^ゞ

投稿: でんでん | 2006/04/15 14:41

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