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2006/03/01

三月にDVD「四月物語」を観る

 この前の日曜、久しぶりにDVD「四月物語」を観た。"久しぶり"と書いたのも、ちょうどこのサイトを始めた時、扱ったDVDがこの作品だったからだ。画面の大きさは変わらずとも、当時の再生環境とは大きく異なっており、今は本格三管にDTS再生環境となった。そしてちょうど一時間ほど合間ができた中、この作品の収録時間がぴったりとハマった気もする。プロジェクターを温めた午後八時、プレーヤーにディスクを差し入れ、鑑賞を始めた。

 楡野卯月(にげのうづき)は、北海道の高校から東京の大学へ進学する事になった。そんな間もない四月、上京先での生活、ひとり暮らし、入学式、サークル、彼女にとって何もかもが新しい事ばかりだった。しかし彼女がこの大学を選んだのには大きな理由があった。それを彼女は「愛の奇跡」と呼んでいた...これが物語の骨子。主人公は松たか子が演じ、初々しさが漂う演技をみせる。そしてそれを引き出すのは岩井マジック。DVDらしい解像度とソフトフォーカスの狭間、それがこの作品の映像の持ち味。ボケボケにならない程度に仕上がっている。音もDTSだとレンジが広く、クリアーだ。

 この作品は一見、四月という旅立ちの季節だけを追っているようにみえるが、実は恋の成就(あるいはその始まり)を隠されたテーマ。その彼女の生活の中の不器用な一面と一転、一途だからこそ起こした奇跡。そしてその奇跡が達成された時の喜び。奇跡を祝福するような雨、そしてもうワンシーン。傘を扱った掛け合いが微笑ましい。そんな武蔵野をめぐる恋はさわやかで心地いい。文学的要素を感じるのも、岩井俊二作品らしいテイストだと思う。

 さて、この作品を三月に観る意味とは...それは四月に観た時、実はその本当の旬を過ぎているという事だろう。観た直後、こんなスタートを切ってみたい、恋愛をしてみたいと思ってみても、一面を華やかに彩った桜は散り、まもなく五月病が訪れるというズレが生じている事に気付く。それならば絶対、旬の前に観て、来たる四月に備えたい。まぁ全てが映画通り、上手くいくとは思えないが、今年はそんな期待をすぐ先に、感じる春を迎えてみたい。

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コメント

コメントありがとうございます。

本当にこの作品はあっけに取られるくらいすぐに終わってしまいましたが、それもまた岩井監督。

>三月にDVD「四月物語」を観る
笑)
ところで、これは「しがつ物語」と読むんでしょうか・・・それとも「うづき物語」?

それでは失礼致します。
改めてよろしくお願いします。

投稿: 鞠子 | 2006/03/05 13:41

鞠子さんこんにちは。
コメントありがとうございます。

>ところで、これは「しがつ物語」と読むんでしょうか・・・それとも「うづき物語」?

実のところ、ボクもよく知らないのです(苦笑)。たぶん"しがつ"だとは思いますが、そんな考えが浮かぶところがこの作品のフトコロの深さかなぁと思います(^^ゞ

投稿: でんでん | 2006/03/05 13:56

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