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2006/01/07

「古畑任三郎ファイナル」を観る(少々ネタバレあり)

 1994年からスタート、シリーズやスペシャルと続いてきた「古畑任三郎」がファイナルの冠を携え、新春スペシャルとして名目上の最終章を迎えた。日本版「刑事コロンボ」と時任三郎にインスパイアされた絶妙なネーミング。そして三谷幸喜の舞台劇的脚本に田村正和の台詞回しとそのキャラクターと相まって約11年半に渡って愛されてきた。特にサスペンス好き、三谷幸喜の引き出しの多さには舌を巻く。気がつけば、第一シリーズからその世界観に惹きこまれていった。

 そんな古畑が最後(?)に迎えた三つの事件。「今、蘇る死」「フェアな殺人者」「ラスト・ダンス」。三篇を観終えると、それぞれのタイトルにしっかりと意味が込められている事に気づく。今までの作品でも同様であったが、ただ今回はファイナル。しかもタイトルと共演者が公表され、今までに比べよりタイトルに重みが置かれている。それぞれタイトルが事件最大、事件決着のキーワードなのである。それぞれの三篇について感想を述べていきたい。

 「今、蘇る死」は観る側の思い込みを巧みに利用した作品。古畑VS堀部音弥の様相で進めつつ、実は...という作りが面白い。トリックのヒントも早い段階で提供。音弥が犯人にしては、と疑問符が付きつつもまんまと真犯人のトリックに乗せられた。ただ一点だけ解せなかったのが、天馬が実行犯たる音弥を殺人まで誘導できるのだろうかという疑問。ただ古畑ですら、天馬の話術に捜査、音弥主犯と見誤った流れを作っていたから、それはそれでアリなのかもしれない。演技陣のぶつかり合いも三篇中で一番面白い。

 「フェアな殺人者」は今や世界のイチローが実名で登場。しかもタイトル通りの犯人役、しかもサブキャラ向島の腹違いの弟なのである(まぁ、そのあり得なさは目を瞑ろう)。その繋がりよりも俳優イチローの存在と、イチローがイチローたる動機と崩されていくアリバイ。世界一の肩だからこそ、犯人と意を強くする古畑はゲームセットを勝ち取る。メチャクチャ演技が上手いわけではないが、予想以上の演技を魅せるイチロー。ただそれよりもタバコが嫌いというイチローに拍手。たぶん実生活が投影されたシーンなのかも。

 「ラスト・ダンス」はファイナル最終話ゆえの意味深なタイトル。だがどちらかというと、アリバイ崩しとラストシーン、そしてファイナルの三つの意味が重なったものと言える。「今、蘇る死」と同様、観る側の思い込みを利用した感もあるが、こちらのほうはある程度、予告編で予想された展開ではあった。ただ三篇中で最も人間性の映った物語である気がする。スポットライトの当たる者と影たる存在。過去のシリーズでも似たコントラストを見せた物語も多いが、その松嶋菜々子を相手に据え、まさに古畑任三郎総決算という事なのだろう。

 今回の三篇を観終えて、やはり面白かった気持が強い。しかも今回は三篇共魅力的、中身の濃い古畑らしい一篇が揃っていた。古畑は毎度観終えると、食べてもう一杯と手が伸ばしたい感じなのである。それが第二、第三シリーズ、スペシャルと現在まで続いてきたのだ。しっかりした脚本、キャスト、スタッフ、音楽、諸々と揃えば、中身の濃いドラマが出来るという事。それは古畑が希有な存在として愛されてきた結果でもある。もちろん、もし三谷氏に納得できる脚本ができるとすれば、古畑再登板の可能性はゼロではない。単なる連続ドラマでないゆえ「任を終える」、次は「任に戻る」可能性を期待したい。

追伸.
 筆者はテレビシリーズをDVDボックスで持っている程の古畑ファン。思わずマネをしたくなる古畑節。そこに魅了され、「古馬任三郎」のペンネームで競馬予想も行ってきた。ボクとしてそのパロったペンネームは、本家への最大級のオマージュでもある。本当に古畑任三郎が好きなんだなぁ。今回出演したイチローが思い描いた、その気持と同じようにその対決を望めば、「古畑任三郎VS古馬任三郎」なんて事も現実に...やっぱ、そうはならないよね(苦笑)。

060107

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コメント

こんにちは♪
TBありがとうございました。
この3作はファイナルということもあって力作ぞろいで、俳優陣も魅力的だったと思います。
これで終わりなんて寂しすぎます~。

投稿: ミチ | 2006/01/08 00:08

ミチさんこんにちは。
こちらこそコメントありがとうございます。

>これで終わりなんて寂しすぎます~。

今回の視聴率に味をしめたフジなら、また忘れた頃に復活させてくれるでしょう...という希望的観測ですけどね(苦笑)(^^ゞ

投稿: でんでん | 2006/01/08 22:17

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