個人的にこれまでの『ライブドア騒動』を振り返る
ご存知ホリエモンことライブドア堀江貴文社長が捕まった。いや今では堀江前社長、堀江容疑者となった彼だが、あれだけチヤホヤしたマスコミは手のひらを返したように、一気に悪役まで押し上げた。まぁそんな事は先週の時点で「想定の範囲内」ではあったが、堀江氏最後の記者会見で「想定の範囲内ですか?」と質問する記者に失笑、いやそれは笑えないし、場違いな質問。たぶんあの記者はそんな質問をぶつければ、きっと全マスコミ、ニュースで採り上げられると踏んでいたのだろう。もはやマスコミはハイエナ同然、堀江氏は骨の髄までしゃぶられている。そんな堀江氏について書いたネタをここで振り返ってみたい。
このコラム、ライブドア(という言葉の)初登場2004年9月10日と遅く、もちろんプロ野球新規参入問題がテーマだった。球団オーナーを馬主になぞらえ、「別に若造でも、他のオーナーのフルネームを知らなくても馬主にはなれる。ライブドアならとっくに有力馬主となっているだろう」と称した。実際、彼も当時からホリエモンという馬を持つ馬主でもあった。ちなみに馬名は公募、二位に選ばれていたのは『ブンカツテイオー』という名だったとは何やら因縁である。
続いて同年9月23日、「楽天「本拠地仙台」は完全な後出しジャンケン」とコメントを出した。この時、追い風であった「ライブドア」の大きな挫折でもある。球団争奪の相手が「楽天」、しかも目のつけどころまでもが同じ仙台と、「弱肉強食、確かにビジネスとしてはこうした戦略もアリ」と楽天のやり方を称しても、敗者を擁護したくなるのは日本人だからか。そして11月2日には新規参入球団が決定。
「選ばれなかったライブドアは痛し痒しの結果。痛いのは十二球団目に選ばれなかった事。痒しの意味は参入が見送られ、株価が上昇した事である。そもそも春先、球団買収を表明した時点でライブドアの認知度は大きく上がり、企業としての彼らの欲求は満たされている」
結局、この時が堀江氏のターニングポイントだったという事、今回の事件の伏線ともなった。
そして翌2005年2月20日、「ビター・スイート・サンバ」でニッポン放送株問題に触れた。
「現時点ではその鍔迫り合いの最中という事。堀江社長の野望はその巨大なフジサンケイグループを手に入れる事にある」
「堀江社長に言うメディアの融合はよく解る。ネットによる配信による即報性、双方向性にテレビ、ラジオ、新聞の強みを融合させれば、さらに大きな力を発揮するだろう。ただそれは同時にライブドア側のコンテンツの枯渇を露呈し、結果として堀江社長を人生の一大勝負に押し出した」
問題は後述の『ライブドア側のコンテンツの枯渇を露呈』であり、3月17日の『ニュースは買うもの』へとつながっていく。
「特にインターネットのほとんどのポータルサイトは、ニュースを買ってきている。だからホリエモンの発言は別段、不思議なものではない。だが何でも欲しがるホリエモンと同様にメディアも貪欲だ。小さなスキャンダルが命取りになる事もある。もし自らそんな自体を引き起こしても、ホリエモンはそんなニュースを買うのだろうか」
そして3月24日「テレビのチカラ」というコラムで、堀江氏に対する見解を方向転換した。
「もしライブドアが、単なるコンテンツの取り込みにフジを狙っているのであれば、大きな勘違いだと思う。だからこそ今の放送業界は映画制作に活路を見い出し、マルチな展開から放送からの相乗、あるいは回帰効果を狙っている。その活動はむしろライブドアよりも貪欲。(中略)ライブドアはネットドラマが関の山、そこまで見据えたビジョンがあるとは思えない。ネットとメディアの融合というお題目だけでは、フジが懐疑的になるのは当然だ」
「やはりテレビ至上主義は歴然だという事。先に述べた貪欲さはテレビ、放送業界にメディアの雄たる誇りすら感じる。そもそもドラマやバラエティはダメでも、ニュースを中心とした情報コンテンツはリアルタイムで知りたいし、視聴者に対し今も最も強い力を持つ。電波は日本全国を網羅、しかも在京キー局はわずかに6局、情報発信の重みは大きい。だからこそライブドア堀江社長はテレビを窓口に、自らの主張を続けてきている」
結局、堀江氏をホリエモンとして育てたのは実はネットでもなく、テレビだったと皮肉った。
4月20日「大衆の面前で、ホラをさけぶ」より、
「「業務提携できることになり、ワクワクしている」とはいうものの、テレビを見てしらけてしまった人は多い。実はワクワクしている理由が、多額のニッポン放送株の売却益だという事実。そりゃあれだけのギャンブルを勝てば、誰でもワクワクするだろう。そして最もクビをかしげたのが、あれだけフジ支配のお題目にしていたメディア論。記者会見中ではひと言も触れず、何処かに消え去ってしまった事である。その事からも、ホリエモンにとってニッポン放送株売却の主旨が、単なるマネーゲームだったと言わざる得ない」
「「やっぱりマネーゲームなんだ」と最初から見ていたならよし。かくいう筆者はそうだった。だが見ていた大衆、国民の大多数は、お台場劇場の中で何か新しい風を求めていたという事。そもそも世論を味方につけるため、繰り出したメディア論も絵に書いた餅でしかなかったし、結果として何の提案もできなかった。ホリエモンは大衆の面前、にこやかに記者会見に答えていたが、その一方で大衆の求める答えは一つも無かった。いや最初からそんなものは無かったのだ。無いものを在るものとして扇動しただけの事」
そして今思えば、この時点のボクの見解は間違っていなかったと思う。
8月21日「衆院選の戦い方を見る」
「衆院選は民主党よりホリエモン出馬のほうがニュースになっている事実」とひと言。当時それ以上、コメントすべき事は既に無かった。
12月1日「今年の新語・流行語大賞発表」で再登場。
「ただしホリエモンのマスコミ利用は前年の流行語『新規参入』で心得たものだが、『想定内(外)』=ホリエモン=ライブドアの構図が成立、ホリエモンにとっても思わぬ広告媒体に成長している」
そしてあの記者会見での質問は何とも皮肉。そしてライブドア・ショック以後のネタへと引き継がれていく。
ここまで振り返ると、堀江氏はかなりニュースな人だったという事。しかしフジテレビ問題の決着で筆者を醒めさせた。彼がネットを活かしたと言えるのは、堀江氏の求めた多数の株売買を成立させた事。反面、ネットの人だった堀江氏が、テレビを媒介に強さを見せつけ、その後も世間とマスコミは彼に飛びついた。衆院選、そしてライブドア株の株価高騰、犯罪者でなければ由、しかし結果は...いずれ明かさせるだろう。一応名目上、まだ堀江氏は容疑者である。
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