耳をすませば
昨夜のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」を観ていたら、小泉改革、民営化の急先鋒、猪瀬直樹氏が出演。森林や不動産、金融資産等の国有財産の問題点について触れていた。これらのうち森林、不動産を足すと、日本列島の四分の一が国有財産の占める面積に当たり、地方自治体まで広げると列島の二分の一までに広がるという。「これは社会主義国家並み!」と猪瀬氏の見解、その内容は非常にごもっとも、誰もが納得のいくご意見。しかし見ていてどうにも気になった事が、それは猪瀬氏の鼻に掛かった声だった。
彼の辛らつな意見に耳を傾けても、その声はとにかく聞き取りにくい。今まで彼の出演番組を目にするたび、常にそう思っていた。まるで聞いているこちらまで耳が、いや鼻が詰まってくるような気がする。聞いているほうがつらくなってくるのだ。ボクは医者じゃないから判らないが、慢性鼻炎なのだろうか、あるいは無呼吸症候群なのかと勘ぐってしまう。猪瀬氏、その仕事ぶりに休む暇は無いと思うが、一度医者へ行ったほうが...いやいや余計なおせっかいだった。
ニュース番組のキャスター、コメンテーターに問われるもの。時間内で適切かつ気の利いたコメントを求められている。そして聴きやすい言葉。その声質は重要だ。NHKアナウンサーは判で押したように同じ言葉遣い、発音を求められているが、その原点は『NHK日本語発音アクセント辞典』にある。ボクは高校時代に放送部に在籍していたが、アナウンス係に人たちは競ってそのアクセントを模倣していた。NHK高校放送コンクールという目標があってこそだが、これはNHKに限らず、民放各局でもバイブルとして扱われているようだ。これだけテレビが普及した今、言葉が画一的になってしまうのはやむを得ないだろう。
人の声には感情、そしてその変化が表れる。その顕著な例が証人喚問の席に立ったヒューザー小島社長にある。最初に国会に召集された時、他の発言に対し、語意を荒げていたのが印象的だった。しかし先日の質疑の中では憔悴しきった姿、そして別人のような言葉遣いに変わり果てていた。彼の言葉にはあの「村西とおる」ばりの胡散臭さは消え失せていたのだ。それが演技なら相当な名優だろうが、そんなベールを感じなかった。ただボクの耳が節穴で無ければの話なのだが。
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