碇シンジ症候群(シンドローム)
年に何度か、猛烈な自己嫌悪に陥る事がある。特に仕事やプライベートの全てが最悪な時期に差し掛かると、目も当てられない位に何事にもドロップアウトしてしまう自分がいる。むしろ仕事が忙しい時、他の事を考える暇がない時くらいのほうが健全。むしろそういう時ほど面白いものが書けるし、毎日暮らすのに張り合いが出てくる。しかし今はその自己嫌悪期間に入ったようで、ブログのネタは浮かばないし、筆(キーボードを叩く指)も進まない。ネタになりそうな事があっても、書けない事自体が最悪だ。
そうこう言っても仕方が無い。ここに書く事こそ自己嫌悪から脱出する最善の手段。そう思ってとにかく書いてみる。まずこの事態、自己分析すると、自分の中がマイナスイメージで埋め尽くされている事に気づく。世の中、もっと大変な境遇、いや考えもしない事態、最悪命を奪われる機会さえあるのだからと慰めてみる。しかしそういう時こそ、そんな言葉は自らの耳、心には届かない。閉塞感だけで満ち、他人の笑い声さえ、苦痛に感じる事もある。そして結局悪いのは自分自身だと思い知らされる。自ら最悪の事態なんて決められない。だからこそ、そこからの脱出は相当に難しい。
こうした心の葛藤はSFアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公、碇シンジの姿に重なる。能天気でオタク心をくすぐるSFアニメから、徐々に自己深層心理に及び、やがてその葛藤までも物語に取り込んでしまった。物語中、碇シンジは自分自身何もできず、最終回を迎える。人類補完計画と呼ばれる物語のキモが進む中、最終的に自己の成り立ちを顧みて、自分という存在を確かめていった。多少誤魔化された気もするが、そうやって思わなければ、人生はやっていけない。そしてそれこそが自己嫌悪から脱出できる瞬間なのである。
「新世紀エヴァンゲリオン」の登場人物たちはそれぞれに何かしら心を病んでいた。だが特に酷いのが碇シンジだった。わずかな才能と呼べるかどうかの能力を頼りに生きる様。そして放つ言葉とは裏腹に、逃げてばかり、まるで女の腐ったような心理状態は、まさに今の自分に同じ。そう思った時、心の何処かで「また碇シンジになっちゃったよ」と感じてしまう。これまで何度も経験してきている事だが、そうなった時は諦めつつも、どうしようもない自己嫌悪は気持ちのいいものではない。
物語中は絶えず「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ...」と逃げている主人公。
そんな劇場版のラスト、もう一人のヒロインの突き放すひと言「気持ち悪い...」
それが全てだ。
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