iTunesヘビーローテーションズ[その4]「大激闘」のテーマ
最近の刑事ドラマに昔のような骨っぽさは無くなった。連ドラも「はぐれ刑事純情派」のような人情路線、「相棒」のような知的な匂いのするドラマばかりになった。まして二時間ドラマは謎解き、複雑な人間関係に終始し、刑事ものを楽しむといった趣向と言い切れない。「踊る大捜査線」から始まった警察組織への切り口も、いつの間にか刑事ドラマをつまらなくしてしまった要因となった。近々「あぶない刑事」が映画で復活するが、そんなコミカル路線も今となっては性に合わない。
昔の刑事ドラマはある意味、「ダーティハリー」的であった。すなわち法は俺、そして悪は絶つ、そんな意気込みが感じられたものだ。法を犯してまでとなると初期の「ザ・ハングマン」(注:彼らは警察官ではない)になってしまうが、警察官でありながら法ギリギリに立ち向かう猛者もいた。知っているだけで杉良太郎の「大捜査線」、黒沢年男の「ドーベルマン刑事」、菅原文太の「警視庁殺人課」等など、昭和の刑事ドラマはそんな魅力に満ち溢れていた。
そんな中異色だったのが日本テレビのドラマ「大激闘」だった。火曜サスペンス劇場以前のドラマ枠、午後九時代。レギュラーにおいて主役級は渡瀬恒彦と梅宮辰夫のみ。彼ら二人を除くと片桐竜次、志賀勝、中西良太と強面、どちらかといえば悪役、助演級の男性陣をあえてキャスティング。『マッドポリス'80』のサブタイトル通り、華が無いと言ってしまえばそれまでだが、そんなところが当時小学生だったボクの琴線に触れたのだった。
もちろん紅一点、元クラリオンガールの堀川まゆみのお色気も見逃せない。ただシリーズ途中、視聴率不振のためかテコ入れに「特命刑事」と改題、「刑事くん」こと桜木健一らが加入したが、その奇策は不発に終わってしまう。しかし組織犯罪(敵対する組織の名は『ジャパンマフィア』!)にガンアクション、確か番宣で銃弾数を売りにしていたと記憶している。とにかく放送コード内ながら、今考えても少なくとも登場キャラはある意味「キルビル」や「シン・シティ」並みに濃いドラマだったように思う。
実はこのドラマの音楽は大野雄二。彼というと第二シリーズ以降の「ルパン三世」や角川映画を思い出すが、実はこの「大激闘」の音楽も、彼のフィルモグラフィーの中で光る存在である事に気づかされる。とにかくリズムラインはスピーディー、さらにブラス系が際立ち、血湧き肉踊るという表現が当てはまる。元々彼の音楽は初期の「24時間テレビ」など、日テレ御用達だったところもあるが、一連の大野サウンドが息づくそんな快作がこの「大激闘」のテーマなのである。(iTunes、iPodのヘビーローテーションズ中第21位で再生数24回)
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コメント
はじめましてm(__)m
ホームシアター関連のHPを回っていたらこちらへ辿り付きました。
私も『大激闘』は三度の飯よりも好きな作品です。
リアルタイム組ではないですが、幼稚園の時に観た再放映でピンと来て、後年も主題歌のEP盤やVAPのサントラCDを買い漁ったものです。
テーマ曲もMIDIを組むほど好きな曲ですけど、あの耳コピ泣かせなアレンジはある意味トラウマですわ(;;
でんでん様のHPも拝見させて頂きましたが、趣味的に自分と共通する部分の多さに狂喜乱舞してしまいました(笑)
ともあれ、またちょくちょく寄らせて頂きます。
投稿: 徳吉 | 2005/12/18 19:51
徳吉さんこんにちは。
コメントありがとうございます。
>私も『大激闘』は三度の飯よりも好きな作品です。
この頃の刑事モノはとにかく骨太でしたね。リアリズムは無いけれども、カッコいいというか泥臭い。そこが良かったです(^^ゞ
投稿: でんでん | 2005/12/18 21:17