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2005/06/06

イーストウッドVS北野武(「ミリオンダラー・ベイビー」を観る)

 昨日は盟友N氏とクリント・イーストウッドの「ミリオンダラー・ベイビー」を観てきた。観た後の第一声は『渋い』のひと言だった。そしてお互い交わす言葉の中で出てきたのは「キッズ・リターン」、北野武監督作品である。両作品はボクシングを題材に描いた映画ながら、込められたテーマは全く別のところにあった。テーマに若干の重さの違いはあれど、現実を突きつけるラストは両作品共に印象的だ。考えてみればイーストウッドと北野武には似た面が多い。

 まず注目されたのは刑事もの。イーストウッドはご存知「ダーティ・ハリー」、ハリー・キャラハン刑事のアウトローぶりがカッコいい。そして北野なら「刑事ヨロシク」...ではなく「その男、凶暴につき」。たけし演じる我妻の壊れっぷりは、ハリーに勝るとも劣らないキャラだ。「その男、...」は武自身の脚本でなく、故・野沢 尚氏のものなので想像の域を出ないが、「ダーティ・ハリー」第一作を意識した面も少なくない。アウトローにハードボイルド、しかもラストの空しさは早くも相通じるところがあった。

 そして二人は共に時代劇を撮っている。イーストウッドは西部劇「許されざる者」「ペイルライダー」、監督作に限らなければ「荒野の用心棒」に代表されるマカロニウエスタン。彼の出世作「ローハイド」も西部劇。武もビートたけし名義で様々な作品に出ているが、やはり中でもリメイク作「座頭市」が目立つ。ただ西部劇を時代劇とまとめてしまうのには異論があるかもしれないが、映画「レッドサン」で三船敏郎のサムライとアラン・ドロンのガンマンが競演する位だから、別段違和感はあるまい(笑)。

 ただ二人の、特に監督作品にエンターテイメント性は皆無だという事(「座頭市」は北野作品では唯一、エンターテイメント性を重視)。どちらかといえば芸術色が強い作風だ。しかも前述の通り、重いテーマが見え隠れする。ただ彼ら二人が思うのはこういう事だろう。
『何も他人と同じ作品を撮る必要はない』
それも一つの個性。そんな結論、醸す孤高さは彼らの原点のアウトローぶりに相通じる。その男たち、孤高につき...という感じだろうか。

050227

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コメント

はじめまして。
TBさせていただきました。

 イーストウッドと北野武の共通点とはなかなか面白いですね~!
 興味深く読ませてもらいました。

投稿: ちーず | 2005/06/06 21:53

ちーずさんこんにちは。

コメント&トラックバックありがとうございます。

二人の共通点、前から気にはなっていたのですが、今回あらためて強く感じました。
ちなみに数年前カンヌで二人が会ったと、武自身が言っていたと記憶しています。

投稿: でんでん | 2005/06/06 22:00

どーも、はじめまして。
先日TBいただきましたmiuと申します。
いやぁ、ブログっていまだによく理解できていないもので。(笑)

イーストウッドの”MDB”は個人的に今年最高の映画かと。
うっかり、ちりかみ・ハンカチ不携帯で映画館に行ってしまい
とんでもない目に合ってしまいましたよ。
号泣しちゃって顔中グシャグシャ・・・。

投稿: miumiu | 2005/06/09 00:57

miumiuさんこんにちは。

ホームページ見させていただきました。ボクもこの映画で男泣きしてしまいました。物語よりもその演技にです。話の悲劇性を追いかけるのは真意じゃない気がするし、やっぱり演技が素晴らしい。miumiuさんのBBSにちょっと場違いなコメント書いてしまいましたが、あれはトップページのつぶやきでしたね(笑)

投稿: でんでん | 2005/06/09 06:15

☆でんでんさん、初めてご挨拶に伺いました、

我らが(^^)イーストウッド御大の新作でのTBの行き来が叶い、
しみじみ嬉しいです。

◇イーストウッド、北野武

大スター/俳優であり稀有な個性を持つ映画作家でもある二人、

彼らの存在、彼らの生み出して来た映画群には、
僕も長く心掻き立てられて来ました、

―そうそう、ちらと雑誌で目に止めた記事に拠れば、
早ければ年内中に北野武監督の新作が公開される可能性があると
かで…

まぁ、何にせよ、今年の新作映画というのは多彩で充実していて
映画好きにとっては忘れがたい年になるんじゃないかなぁ。

***

―大変遅くなってしまいましたが、
先だって、拙ブログに頂いたコメントにもお返事いたしました、

またいつでもお気軽に遊びにいらしてださい、

今後ともあれこれで行き来が叶えば嬉しいです、
宜しくお願いいたします!

投稿: ダーリン/Oh-Well | 2005/06/29 14:02

ダーリンさんこんにちは。
丁寧なコメントありがとうございます。

本当にここ数年では稀な年かもしれません。
大作から小品まで今年はいい作品が多いですよね。
「ミリオンダラー・ベイビー」はその中でも非常に珍しい位置にある作品だと思います。
いよいよ今年も後半戦、どんな作品に出会えるか楽しみですね。

投稿: でんでん | 2005/06/29 19:17

こんにちは。
TBありがとうございました。
なるほど、クリントと北野武ですか!
言われてみれば共通点多いですね〜。
クリントの若かりしころの映画はイマイチ好きではなくて、むしろ監督になってから注目しています。
こういうズシッときて考えさせられる映画も年に何本かは見たいですよね。
もちろんエンタメ系も大好きですけど。

投稿: ミチ | 2005/07/03 16:46

ミチさんこんにちは。
TB&コメントありがとうございます。

>こういうズシッときて考えさせられる映画も年に何本かは見たいですよね。

だんだんとその傾向にシフトしています(笑)。
心に訴えられると泣いちゃいます。
年のせいですね。でもSWも好きですよ(^^)

投稿: でんでん | 2005/07/03 17:02

でんでんさん、こんばんはー!

先日来、我ら(^^)がイーストウッド御大の新作によって、でんでんさんと行き来が叶いじわり嬉しいです、

僕も、ブログをお披露目して間もなく4ヶ月が経ちます、

まだまだ駆け出し…、でもあれこれありました...(^^)

今後、もっと快適に気ままに常連の方々と道楽探究をやって行くために(^^)、
ブログ構築の(―うーん…硬い言い方だなぁ((^^;)スキル、セキュリティ、その他あれこれをでんでんさん、でんでんさんのブログから自分なりに学びたく、

何よりも、この楽しい(※私め、競馬は止めて久しいですが(^^)世界に頻繁に飛んで来ておりますので、
先ほど「アソブネスタイル」トップページにリンクさせて頂きました。
表記などでご要望が有ればお知らせ頂きたく思います、

今後とも宜しくお願いいたします。

投稿: ダーリン/Oh-Well | 2005/07/03 22:00

ダーリンさんどうもこんにちは。

ボクはブログが約七ヶ月、ホームページは七年目に突入しました。
最初ブログは流行りだからと始めましたが、
今年に入ってそのインタラクティブ性に嬉しくなります。
ダーリンさんとのこうしたやり取りも、その一部だと思います。

気兼ねなく、これからも楽しくいろいろやりとりしましょう。
こちらこそよろしくです。

投稿: でんでん | 2005/07/03 22:13

TBありがとうございました。
私は北野監督の映画は見たことがないのですが...
最近見た「○○戦争」とは残るものが全然違います!
先日、飛行機の中で「ミリオンダラー・ベイビー」が見られたのですが、2回目にもかかわらず、やっぱり号泣!飛行機の中で!
アメリカではシャイボさんの生命維持装置を外すかどうかで、国中で議論が巻き起こっていましたが、この映画もアメリカではかなり議論を呼んだのではないかな~と思います。

投稿: Gachami | 2005/07/18 21:40

Gachamiさんこんにちは。
TB&コメントありがとうございます。

確かに尊厳死は重いテーマです。ただそのテーマを支える確固たる演技、演出、脚本がこれを支えていましたね。

北野作品ではやはり同じボクシングを扱った「キッズリターン」を薦めます。ボクの観た邦画の中でも五指の出来だと思っています。青春の前向きさと挫折、そしてぶつかるグラブが醸すテンポが出色な作品ですよ。

投稿: でんでん | 2005/07/18 21:57

北野監督作品は、「座頭市」で好きになりましたが、「キッズ・リターン」は観ていません。

孤高の作家という視点がいいですね。
感心しました。

投稿: マダム・クニコ | 2005/07/18 23:33

クニコさんこんにちは。
トラックバック&コメントありがとうございます。

>孤高の作家という視点がいいですね。

家族感の伝わる作家よりも、個人的にはイーストウッドや武みたいな作家の作りに共感します。ある意味、カッコいい生き方ですしね。

投稿: でんでん | 2005/07/19 05:48

でんでんさま

TB,コメントありがとうございました。
記事、おもしろく興味深く読ませていただきました。
『何も他人と同じ作品を撮る必要はない』・・・その男たち孤高につき・・ってかっこいいですね。

投稿: loth | 2005/07/20 22:22

lothさんこんにちは。
こちらこそコメントありがとうございました。

>その男たち孤高につき・・ってかっこいいですね。

男が惚れる男たちって感じでしょうか(苦笑)。
でも年を重ねてもカッコよくて、しかもいい映画を撮って。
彼らの今後も楽しみですね(^^ゞ

投稿: でんでん | 2005/07/20 22:27

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